クオンツなしで適正意見が書けるのか
運営者 つまり、金融機関のクオンツ部隊と同じものが会計事務所に必要で、それを持って第三者的に評価したものとあまり変わりがないから、これは適正な会計であるという適正意見が書けるようにしなければならなくて、それに基づいて金融機関に対する投資ができるようにする必要があると。
飯坂 というのもひとつのソリューションかなと。金融機関でも、トレーディングをするフロント部門とレポーティングをするミドルオフィスで、それぞれ独立したクオンツ部門を設けている場合も多いですよ。
運営者 コストが倍かかるじゃないですか。
飯坂 だけど会計士のフィーというのは、早い話が判子代なわけですよ。従来の会計理論で評価仕切れない金融商品が普及して、その判子代に見合う責任が担保できない状況が生じれば、判子代の一部を使ってそういったコストに充てるべきじゃないかなぁ。
もしくは会計士の試験科目に、クオンツを入れてしまえばいい。
運営者 そんな簡単な話でしょうか?
飯坂
そんなに多くの企業の監査において多大なニーズがあるわけではないでしょうから、医者の認定医制度みたいな感じにしたらいいかもしれませんね。クオンツ認定会計士とか。理系出身の会計士が増えるでしょうね。
運営者 確かに。だけどそんなことで、社会的な資源の配分としていいのかな。
飯坂 その分自然科学の研究者や、メーカーの研究部門に行く人が減ってしまうかもしれませんけどね。まあそれは「アービトラージ」が働いて、日本における理系の奴隷状態を解消する市場圧力となると期待したいところです。
運営者 私はそこを懸念しますよ。そんな無駄なことをするくらいだったら、もうちょっとコストの安い対処方法があるんじゃないのかなと思ったりするだけなんですけどねぇ。
飯坂 会計士の取ってる判子代の中で何とかすればよいのでは。
運営者 日本ではそんなレベルじゃないですよ。会計士の連中は口を開けば人数を増やせ、費用をもっと出せとしか言いませんから。
飯坂 それはまあ、労働集約もいいところですからね。
運営者 税理士事務所とやってることは、ぜんぜん変わりませんよ。