「田舎者だからしようがない」では
日本は没落する
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 だからそういう形でコンプライアンスが重視されるようになってきているんですけれど、それでもなお洩れている部分があるじゃないのかな。
だけどそういう後ろ指をされない政策というのは企業の中に根付きつつあると思います。
今年から導入される内部統制システムだってみんな大変じゃないですか。意思決定を文書化したり、なんとかマトリックスを作ったり。
飯坂 あれは、ビジネススクールレベルの考え方のような気がするけどね。オネスティを証明するために外的に規定してもあまり意味はないと思うんだけどな。
運営者 「とにかく要件さえ整えておけば訴えられても負けないんだから、とりあえずそこまで行きましょう」ということなのかな。ISOとか、情報処理なんとかシステムとか、個人情報保護なんとかみたいな。
飯坂 それが大学の法学部のレベルなんだろうけれど、もっとやることあるだろうと思いますけどね。
運営者 そうですよね。経営環境、市場環境が変化している中で、自分たちの会社がゴーイングコンサーンで収益を上げ続けていくためには最優先課題は何なのかということなんですけれど。
昔は利益を上げるためには法律を破るのも平気だったというだけで。
飯坂 お上に目をつけられないためには、最低の法律は守っていましたけどね。
運営者 だけど昔は、「利益を出す必要すらもない」と思っていたわけだけど。
飯坂 そうそう、給料さえ払えればいいわけだから。
運営者 日本の会社員は、株主から搾取していたわけで。
飯坂 株主は、「持ち合いなんだからお互いさま」ということで。
運営者 その持ち合いが復活しているのはどうよと。
飯坂 「三つ子の魂百まで」というか。
運営者 その監視は、市場がやるべきことかもしれませんね。
飯坂 それで参議院選挙に負けて福田政権になって、小泉改革を修正するような方向性が見えてきているわけだけど、やっぱり国民が本当に改革を望んでいないのであれば、そんなものはやっても根付かないだろうと思うね。
たとえ改革をやっても、また新たな既得権が生まれるだけじゃないの?
運営者 公務員の数を減らしても、役所の関連法人の数が増えているというモグラ叩きになってますよね。むしろ隠し方が巧妙になってきているだけで。官僚は税金を食いつぶしながら太るのが仕事だし、民間企業の社員は株主から搾取しながらサボるのが仕事なんですよ。
やっぱり日本は、変わってないな。
まあとにかくね、日本は法治国家であるとは、だれも本心からは思っていませんよ。それが日本文化の持つ田舎性です。
飯坂 法治国家というのは東京の論理であって、地方は違うんだよ。
運営者 舛添厚労大臣に反対していた地方自治体の首長はそう言ってるのと同じですね。まあそれは、「お前ら田舎者だからしようがない」ということでしょう。
だけど、東京にある組織の中枢部でもそれがまかり通っているという問題を見逃してはならないと思います。
もともと田舎なんだから、頑張って前に進めないと、また企業や他の社会システムは15年前に戻っちゃいますよ。
われわれには不断の進歩が必要だということを、まず認識すべきでしょう。
(この項終わり)