株主代表訴訟のリスクが
役員の意識を変えつつある
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 社外取締役ってホントに機能してるのかなぁ?
運営者 それは取締役会にかかる議案を、社外取締役が本当にちゃんと理解するまで勉強して、そこに上がってきた材料に基づいて決断を行うという膨大な時間をかけなければ難しいでしょうね。
アメリカの会社だったら、取締役会は3カ月に1回で2日間やるじゃないですか。日本だと毎月1時間半で取締役会が終わっちゃいますからね。
飯坂 でも現場にしてみると、単に説明資料が増えるだけという感じもするけれど。「1枚でわかるようにしろ」とは言われますけどね。
たとえば役員の利害関係先との取引とか、大株主との取引っていうのは、利益相反が起こる可能性のある取引なので、事細かに資料を書かされたような記憶はあるな。だいたい案件をやるときに、利益相反になるような案件なんか仕込まないわけですから。
運営者 それはNOVAの社長がお茶の間留学の機械の納入でやっていたようなことで、コンプライアンスの世界では一番重要な部分の話ですからね。取締役会の承認でOKになるわけだから、後で後ろ指が指されないようにしとかないと。
ひとつ言えるのは、15年前だったら、「役員と関係のある会社に仕事を発注して何が悪い」と押し通していたところが、いまはどの企業でも「やっぱり取締役が絡んでいる会社との取引だから役員会がうるさいんじゃないの」「子会社にこの値段で売るのはまずいんじゃないの?」というようなことが議論されるようになったことだけでも結構な進歩だということですよ。
株主代表訴訟が怖いですからね。負けた事例が積み重なってますから。
飯坂 でも個人企業のレベルだったら、なんとかして社長をおびき出して、そのまま部屋に閉じこめて、その場で臨時取締役会をやって、おびき出された社長をその場で解任して・・・なんてことがテクニックとしてあるらしいんでねえ。
運営者 それは強要罪に当たると思いますね。
飯坂 だから、ちゃんと取締役会の招集の手続まで踏むんだよ。招集通知を発送して。
運営者 招集通知は書面にしなくても、口頭でも良いという判例が出ていたと思いますよ。そういう強要まがいのことをやる連中がいるからこういう判例が出ているんでしょうね。
飯坂 小池防衛大臣が防衛官僚と揉めた時みたいに、留守番電話に残しておくとかね。
まあ、上場企業でもやるときはやりますよ。
運営者 そうですね。でもまあコンプライアンスが枷になって、そんな無茶はさすがにもう○○銀行でも通らなくなっているんじゃないのかなという感じが僕はしますけどね(○○には好きな文字を入れてお楽しみください)。バブル期はやってたような気がしますが。
飯坂 当時は、いまとルールが違ったんですよ。