国会議員は全体システムに寄食するな
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 国会が自立していなくて、議員の意識が、旧套墨守、内側を向いてるのは、異常なことなんです。変なんです。これじゃ、ダメなんです。
どういうことかというと、「国権の最高機関」であるということは、「国の進路を正しく決めるためには、何をしても良い」ということでしょう。彼らには、自立した主体として、その大権が与えられている。国民の意思がバックにあるんだから。
だから、自分たちの役割を自分たちで次々に創り出していけばいいんです。世の中の状況の変化に合わせてダイナミックに変わっていけばいい。新たな機能を獲得すればいい。ただし、「プライドにかけておかしなことはしない、全体利益の擁護者であり続ける」という規律をもって。
それが選良の選良たる所以でしょう。
ところが、現実はどうなっているかというと、これが旧日本型企業とうり二つで、前例主義、繁文縟礼、それに加えて、役所からの介入がある。役所はテコでも動かないし、機会を見つけては議員を骨抜きにし、行動力を奪ってしまう。役人は頭がいいですからね、表面上は「先生のおっしゃる通りでござい」と議員を立てているように見えて、実は自分の言い分を通してしまう。そしてそれが前例になる。それをずーっとやってきたんです。
これじゃあ行政のチェックなんかできませんよ。それどころか、役所のお先棒担ぎで、財務省と地元の間に立ってロビー活動をやるだけの存在に落ちぶれている。
「なにか、まちがっているだろう」といわざるを得ませんよね。しかし国会議員が、自分で自分たちの道を取り戻せますかね? 難しそうですよね。
その現状を知りつつ、役人から政治家になりたがる者がいることを考えると、この癒着関係はお互いにとっておいしいことになっているとしか思えない。結局彼らは、「自立」の看板を下ろして、全体システムの寄食者という生き方を選んでいるようにしか見えない。
「違う」というんなら、「じゃあ立ち上がって、この惨状を何とかする手段を本気で考えてみろ」といいたい。
なぜ国会議員は、国益を考えることができないのか。そしてなぜ政策を考えることができないのか。不思議ですよね。彼らは確信犯ですよ。「とにかく選挙、選挙に落ちたらただの人なんだから」というのが一つ返事です。
飯坂 北海道だと社会党系は強いから、比較的選挙に落ちないわけです。二世議員は「銀のメガホン」を口にくわえて生まれてくる、そういう状態なんで、嘘でもいいから国益を考えた発言をしてほしいんですけどね。
運営者 だから僕は常々、「国会議員というのは、名望家がやるものだ」と言ってるんです。鳩山だっておかんが金出してくれてるわけじゃないですか。そういう「アリストクラトが、自分の利害を超えたところで全体の利益を考える」という形がなければ。だって、どんな大人でも自分の利害を考えたら迷いが出ると思いませんか。人間には迷妄がありますよ。だから自分の足元が揺らいでいたら正常な判断なんかできっこないでしょう。