「田舎」を田舎でなくしてしまおう
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 まったく未知の世界を、どのようにして自分自身に関連づけるかというのが、動機づけのために一番大切なことなんだと思うんです。
飯坂 松下村塾の門下生が多数、明治維新の原動力になったというのもそれなんでしょうね。
運営者 「あいつにできるんだったら、オレにもできるだろう」ということですよ。
飯坂 でもさ、それがなかったとしても、田舎者は田舎者として清く正しく生きることができるようにならなければ、日本はいつまでたっても姿勢を変えられなくて、苦しむことになると思うよ。
運営者 僕が話しているのは、「田舎を田舎ではなくしてしまおう」という話なんです。
どうしてかというと、旧日本人のマインドセットを変えるためには、田舎にそういう異分子を放り込む必要があるからです。神戸には、P&Gやネスレ、ワールドやUCCがあるじゃないですか。
僕自身も田舎者なんで、なんとかあの体質を変えたいものだと強く思うんですよね。
飯坂 旧日本人は、環境が変わればそれに対応するというか、順応することができますよ。旧日本人の性根まで入れ替えるのはとても無理ですから。
運営者 それで旧日本人は、発言権のないところに押し込んでおけばいいわけですよ。
飯坂 そうそう、問題は旧日本人が、のさばっていることなんですよ。別に旧日本人を撲滅しようという気はないわけだから。
運営者 ただ静かにしていてほしいと。
飯坂 「君たちの故郷は大事にしてあげるから、おとなしくしていてくれないかな」と。別にボロい車に乗っていたからといってばかにしないし、家も馬と一緒に暮らしていて家族が病気になるということじゃ困るけれど、雨露が凌げるんだったらそれでいいじゃない。なんでそれで満足ができないんだと。
60歳以上の人たちは、「勿体ない」という概念をちゃんと持っているにもかかわらず、一部の人間は極めて貪欲に中央に対して「くれくれ」をやっている。
運営者 んだんだ。故郷を捨てる覚悟がないと、新日本人にはなれないということだな。
田舎者って、欲深いんですかね
飯坂 百姓ですからね、当然じゃないですか。それ自体は別に悪いことでもなんでもないですよ。特性なんですから。
運営者 だけど二宮金次郎は、そういう農村に、「それじゃだめなのよ」と教えてやったわけでしょう。
飯坂 だからいまだに、銅像が立っているわけですよ。彼は特異な存在だったから。