田舎者の我執をどう鎮めるか
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 そういうのって、中世の暗黒時代の閉鎖社会の中での欲深さと符合しているような気がするな。
ボローニャに行くとね、塔がいっぱい立ってるんですよ。それは何かというと、他家より高い塔を立てることがその家の権勢を表すという、非常に単純な考え方があったので、みんな競って建てたんですねえ。今でもボローニャのシンボルになっているのは2つの塔でね、張り合っていた家が隣あって建て始めたんだけど、片方は50mぐらい作ったところで傾斜してしまい放棄せざるを得なくなってしまった。今でもメンテナンスを続けないと倒れてしまうんだそうです。
その横に立っているのは高さ100m近い大きなものです。しかしまあ、見栄を張るためだけに、エネルギーの無駄としか言いようがないことをやりますよね。別に罪人を閉じ込めるという実用性があったわけではなくて、「高い塔を立ててられる家の方が偉い」ということですからね。ばかばかしいですよ。もっとほかにやることがあるだろうに。
中世って、ホントにムダに欲深いですよ。「これは日本だな」と。感覚的にはそういう感じでしょう。
これは林道義さんが書いているのを読んだんだけど、紋章が発達したのは、中世の日本とヨーロッパだけらしいんですよ。封建制=封土=家=中世のシンボルとしての紋章ということでしょうな。
だから、飯坂さんのおっしゃるように、われわれは旧日本人の存在自体を否定しようと思っているわけではないんです。そうではなくて、しばらく静かにしていて欲しいだけなんです。「日本の現状はあまりにもヤバイ。もうすでに非常事態なんです。だから少し静かにしておいていただいて、もうしばらくして日本の経済が立ち直ってきたら、また騒いでいただいても結構ですので、ここはひとつお平に」ということですよ。
ところが、旧日本人の皆さんはそうはしないわけです。どうしてかというと、彼らは自分の存在を全面的に認めて欲しい人たちなんです。自立してませんからね。他者との関係は、「支配=従属」関係以外には考えられませんからね。だから前に前に出ようとするんです。やらなくてもいいことをするし、言わなくてもいいことを言うんです。やっかいな人たちですよ。
そういう人たちを慰撫鎮撫する手を何か考えて、旧日本人の興味関心をそちらの方に引きつけておいて、その間に新日本人が大勢を変革するというのがいいのでは。
飯坂 勲章を乱発しましょう。「会社の社長をやったら勲一等やる」と。もらいたくない人にも、無理やり送りつけると。
運営者 そうすると、みんなあほらしくて、大企業の老害経営者たちも勲章獲りをやめますよね。
飯坂 大田区の世界一の金型技術が日の目を見ていないというのなら、勲章の金型を作ってもらって、ガチャンコガチャンコと作ったのを送りつけるとか。
運営者 田宮模型に頼むとか。あるいは、近所の幼稚園の子供たちに、画用紙にくれよんで勲章を書いてもらって、それを「勲一等」として送りつけると。「ハーイみんな、今日のお絵かきの時間は勲一等ですよ~」。
飯坂 まあそこまで皮肉を利かせなくても(笑)。