「一億総おねだり」のロジックとは
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 これ、一億総おねだりしてるんですよ。
飯坂 そうですよ。だって家族を養わなきゃいけないんだから。
運営者 そこには、「労働というのは自分が働いて価値を作って、それを市場でついた適正なお値段で売ってお金をいただくんだ」という考え方がないですよね。
飯坂 それよりなにより、まず家族を養わなきゃいけないんです。
運営者 や、そこまではわかったんですよ。「ねばならない」のはわかったんですけどね。
飯坂 「ねばならない」から、公共事業を取ってこなければならない、租税特別措置法も作らねばならない。農業の補助金も出さなきゃならない、天下りもしなければならないんです。
運営者 ねばならない……。じゃあ、そうなのかなあ、やっぱり(爆)。
飯坂 だって旧日本人にとってみれば、そうじゃなかったら、「我々に死ねというのか、路頭に迷えというのか」ということですからね。
運営者 いや、「死ね」とか「路頭に迷え」とは言ってないんですけどね。
だけどそんなに、田舎にいっぱいパイプオルガンを備えたコンサートホールを作って、そこでカラオケ大会をやらないといけないのかとか、どこの町にも温泉付きの生きがいの里が必要なのかということですよ。
飯坂 だって、生きがいは必要じゃないですか。
運営者 生きがいと、死ぬとか路頭に迷というのは、ぜんぜん別の次元の話じゃないですか(爆)。
「やらないと死ぬ」という話だから、「では公共事業をやるのか」いうことであって。
飯坂 「隣の町にパイプオルガンがあるのに、こっちにないとなると、劣等感にさいなまれるじゃないか。そんな思いをしろというのか」。
運営者 「もしそれで劣等感を感じるんだったら、向こうの町に引っ越してください」という話ですよね。
飯坂 「故郷を捨てろ」と言うんですか。
運営者 「故郷なんかいらない」って言うんですよ。故郷って、何なんですかね。
飯坂 故郷というのは、田舎ですよ。ずっとそこで代々暮らしていたというところなんです。
運営者 そうか、故郷というのは旧日本人のルーツだから、捨てるわけにもいかないんだ。