自分が「新日本人」である
と知らずにもがいている
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 でもね、旧日本人というのは、「問題を問題として認識できない」人種なんです。問題があるということ自体を認めたがない。「問題が解決するかしないか」ということは彼にとってはどうでもいいことなんです。本人は、「物事は決して変化しない」と思っているわけですから。
しかし、もし世論の大勢がクリティカル・マスを超えて、「新日本人こそ危機を克服するためのこれからの日本人の意識のありようだ」という認識がメジャーになったときに、旧日本人は全員、新日本人の方になびくでしょう。それこそ草木もなびきますよ。
そういう人たちなんです。まったくもって度し難い。
飯坂 彼等は「○○の風が吹く」という言い方をしますよね。「風が吹いたらなびくのが自然なんだ」ということなんでしょう。
運営者 ですからね、旧日本人が新日本人に変身することができるかという話なんですけど、僕はものすごく絶望していて、基本的には旧日本人は新日本人になることはできない。その逆はあり。
世の中には、そのどちらかしかいないわけです。新日本人になることができる人は、もう既に新日本人なんです。隠れキリシタンのようなもので、旧日本人の海の中で、「なんだかおかしいな」と思いながら、自分が、新日本人であることを知らずにもがいているということですよ。「知られざるキリスト者」ということですな。
だから、僕の本の効用は、そういう人たちに気づきを与えるというのが精一杯だと思いますよ。そして、旧日本人に、「お前は旧日本人かどうか」という踏み絵を踏ませることができる。だけど、僕の本を読んだからといって旧日本人が新日本人に変身するのはかなりむつかしいでしょう。本を読んだくらいではマインドセットは入れ替わらないです。実際に会社が潰れたり、追い出されて路頭に迷ったときに、初めてそれは可能になるでしょう。
それは僕だって、ある程度地位と力のある人間が、心を入れ替えて新日本人に変身してくれれば心強いとは思いますけどね。
飯坂 そうなってくると、防衛側の旧日本人としては、「如何にして"新日本人"というブランドを丸めて、無意味なものにしていくか」ということになるでしょうね。
運営者 「新日本人」という言葉の足腰が弱いうちに、旧日本人側に丸められてしまうと、このコンセプトは終わってしまいますね。政治家全員が「オレは構造改革派だ」と言い出した時みたいに。