新日本人のメンタリティー■
合理主義
目的合理的に行動する
「定められた目標をどのようにして、速やかに、低いコストで達成するかを追求する」のが目的合理性である。新日本人はこれに基づいて行動する。
目的達成の前には必ず障碍があるが、その障碍の評価も難しい。「与しやすし」と取り組んでみて意外に手こずったり、その逆に障碍をクリアする努力自体が、実は長期的な利益に結びついたりする。
そこでまず、「目標を達成するためにどうしても従わなければならないルールは何なのか」を把握しておく必要がある。マストでないルールは破ってしまっても問題はない。むしろそこにブレイクスルーがある。
もうひとつは「自分にとって本質的にプラスになることは何か、マイナスになることは何か」をはっきりと認識しておく必要がある。ビジネスは収益を上げることだけがプラスではない。コストがかかっても自社のブランド価値を引き上げたり、実戦を通して社員のスキルを向上させる教育をしたり、新しい市場を開拓する投資を行うのは、将来的にプラスだと考えられる。
こうした時間軸を含めたプラスマイナスを考えつつ、手持ちの資源を最大限に活かして、ルールに従って目的を達成しなければならない。これをゲームと捉えて前向きに取り組むのが仕事の面白さのひとつであろう。
旧日本人の場合は、なかなか仕事を目的合理的にとらえることができない。失敗が許されないという理由のほかに、組織の存続自体が仕事の目的になっているので、ビジネス上の目標を達成しても、同僚と比べて評価はたいして上がらないからだ。正当な報酬がなければ、仕事の面白さは半減する。また不出来な仕事をした元上司のメンツを潰したくないとか、組織の上下左右に無意味な心配りをしなければならないといったおかしな制約条件が多くて、旧日本型組織特有の特殊ルールを踏まえながら仕事をするのは、大変煩わしいことである。
新日本人は「そのような不可思議なしきたりは無視しても構わない」と思っているが、手順として必要な上司のチェックや社会的に普遍的なルールについては、きちんと順守する。その境目がどこにあるのかを客観的に判断する能力をしっかり持っていることが、横紙破りを成功させるための条件なのだ。