新日本人の価値志向性■
強い自我
克己心=向上心+信念+規律
向上心 常に現状を批判する強い問題意識を持つ
信念 必ず解決できると信じて問題と正面から対決する。
規律 常に客観的に自分の仕事をシビアに見つめる。自画自賛せずに普遍的価値に従う
新日本人が、とかく生きにくい世の中をまっすぐに渡っていくためには、克己心、己を頼む力も欠かせない。
まず、個人が市場競争の中で生きていくためには、常に自分の価値を磨き続ける必要がある。したがって「向上心」は、新日本人に必須の特性である。
そして向上心を保ち続けるためには、自分の仕事の結果を、自分の眼で批判的に検証して、改善するの方向を見出す必要がある。「文句を言われない程度に他人と同じような仕事をしていればいいだろう」と、仕事を安直に考えている旧日本人の心には、向上心は芽生えないだろう。
同様に本質的な問題から逃げず、ごまかさず、障碍に正面から立ち向かっていく「信念」というのも、「自分はまちがっていないはずだ」「自分にはこれができるはずだ」という思い込みでしかない。だが、そうした思い込みがなければ、大きな壁に直面すると挫けてしまう。逃げるのは楽だ。しかし逃げてしまっては何も生まれないことを新日本人は知っている。心の強さがなければ複雑で困難な問題を解決することはできないのである。
「規律」やルールを自ら率先して順守する動機は、「世の中には守り通さなければならない高い価値がある」ことを理解しているからこそ出てくるものである。己れに対する厳しさが、規律を守ろうとする姿勢を作るのだ。
世界最大の電機メーカーであるGEの企業価値を飛躍的に伸ばした名経営者ジャック・ウェルチ氏は、母親の「ごまかしてはダメ」という言葉が経営の要諦だったと語っている。自分を律することは、子供にでも教えられるのだが、それを忘れている大人が多すぎる。いったいなぜなのだろうか。