旧日本人の社会観■
社会全体より所属組織が上位
所属組織への忠誠心だけは旺盛だが、社会の全体利益への関心はない
社会的なルールや「市場」という普遍概念を理解しない
「部分最適化」がなぜ問題なのか理解できない
旧日本人は、明確な目的意識はない代わりに、自分の生活の基盤である組織・集団に対する忠誠心だけは旺盛である。所属組織のロジックと現状は無批判に受け入れ、それに依存すれば、魂の平安を得ることができる。
組織に魂を売り渡した旧日本人の心の中に、社会全体に対する配慮が芽生える余地はない。組織の活動が世間で通用しているルールに相反していたとしても、それを「是正しなければ」とは考えない。つまり彼の意識の中では「社会」よりも自分の属する「組織」を上位に置いているわけだ。
だから何か社会正義に反するおかしなことがあっても、オフィスの中で席を蹴って立ち上がり、「これは違う。おれはこんなことをするために働いているんじゃない」と叫ぶ局面など、旧日本人には考えられないだろう。
彼らは、自分が属している部署だけが良ければ、他のことは考えようとしない、即ち「部分最適化は正当なことである」と考えている。自分たちの組織や部署が肥大化することによって、世の中全体や会社全体が不利益を被ったとしても、あまり問題とは感じない。
「会社全体のために自分たちの利益を削ったほうがよいのであれば、身を引こう」などは考えない。この組織のロジックは、旧日本人が一般的に慣れ親しんでいるものである。組織を作れば、旧日本人はそこに自分を同化させて、自分の生存のために組織利益を主張し始める。役所のような、利益追求が組織でないところが大きな力を持つのはこれが理由だろう。
地方公共団体において、「予算を使えば使うほど国からの地方交付税が増やされるので、どんどん箱モノを建てて借金が膨れていく」などという歪んだ再分配の仕組みも、部分最適化の問題性が理解できなければ是正への道は遙かに遠いだろう。