新日本人の社会観■
開放系社会観
オープンな社会や組織の中を自由に移動する
しがらみにとらわれない
積極的に情報発信する
新日本人にとっての社会参加の前提は、「来るものは拒まず、去る者は追わず」という、開放系で流動性の高い社会であること。新日本人が活躍するためには、まずそういう環境が実現される必要がある。
その中で新日本人は、「全体利益を守れなければ、自分の利益も失われる」「自分は社会全体の中である役割を果たしていかなければならない」と考えている。「社会は誰かから与えられるものではなく、自分自身が創造に参加するものであり、自分が支えるべきものだ。その中で自分はどのように生きていくべきなのだろうか」と考える。
新日本人は自分の意思のみに基づいて決定し行動する。なるべく利害関係のある集団からは距離を置き、しがらみにとらわれないように注意する。陳情や署名には、自分の意思で署名するかどうかを決定し、付き合いで社会的決定を下すようなことはしない(これらのことがなんとこの国ではむつかしいことか)。
オープンな社会に参加する資格は、「自分は何者であり、何を考えていて、どのような立場を取っているのか」を自分から明らかに情報発信することである。これがなければ相手がいきなりやって来ても何者なのかわからないので、受け入れる側が困ってしまう。企業や役所に、自分たちが何をやっているのか自ら明らかにする説明責任や、透明性の確保が必要とされるのもこのためである。社会の中に存立している公的な主体は全て、裸になって「オレはこういうことをしているんだ」と叫ばなければならない。そうやって初めて世の中に受け容れられるわけだ。
この点は、隠匿性向の強い旧日本人には全く受け容れがたいことである。彼らは「自分の属する組織は絶対的存在」と位置づけており、組織の利害のみに基づいて行動し、「情報開示など主権の侵害である」と考えている。主権者は市民であり、組織は機能体でしかないのだが、彼らの思い込みを正すのは、容易なことではない。