新日本人の社会観■
社会的役割意識
事業は世の中である役割を果たしていなければならないと理解している
社会には、いくつかの機能が必要であり、「引き受け手のない機能を私が果たそう」と自発的に考える高い志を持った人は、NPO活動に身を投じる
役割意識について、仕事の上で自分が果たす役割は当然押さえるべきであるとして、新日本人はより広い視野で「社会の中で自分が果たす役割は何であるのか」を捉え、ボランティア活動などにも積極的に参加する姿勢を持つ。
さらに積極的に、「企業活動や政府の活動によって補いきれないところを自分の活動の分野としよう」と考え、NPO活動に身を投じる人もいるだろう。NPO団体では高い給料がもらえるわけではないが、「給料は安くても、自分は社会に欠かすことのできない大切な機能を担っているのだ」という精神的な充足感を得られるはずだ。民間企業で利益追求に狂奔することだけが自分の可能性を引き出すわけではない。世の中には、いろいろな役割がある。「仕事の楽しさのひとつは、過剰な儲けを得ることよりも、社会全体を下支えし、その仕事を通して新たな事物を知り、価値観を確立し、自分の内的宇宙を押し広げていくことにある」、そういう考え方もあるのだ。
これは、「人間は自分の利益になることしかやらないものだ」と思い込みがちな旧日本人には到底理解できないことであろう。彼らにとっては、会社という彼らにとっての宇宙を超えて、社会において自分の役割を果たそうとする考え方は、理解力の範囲を遙かに超えている。