「新日本人/旧日本人」モデル

新日本人の組織観 ■

パートナーシップ

「損して得取れ」。利得の独占をあきらめてパートナーの積極的な参加姿勢を引き出す



 もう一つ違う角度から考えると、実りのあるパートナーシップを組むためには、「相手の利益を保証してやること」を考える必要がある。つまり自分が利益を独占する考え方を捨てる必要が出てくるわけだ。


 これまでの日本企業の系列や下請け構造では、製品を売って最終的にどのような利益を上げるかの主導権は明らかに大企業側が握っていた。しかし今後は、明確なルールを持ってパートナーとなる企業と利益を分け合う形をつくらなければ、お互いの力を最高度に発揮する協力関係を築くことはできないだろう。もし他社がそうした戦略を採用していれば、公正な競争下ではそうした企業が最終的に勝ちを収めることになるはずだ。


 私が以前取材して感銘を受けたケースとして、NTTドコモのiモードの、コンテンツメーカーとの関係構築のケースがある。NTTドコモがコンテンツメーカーからコンテンツの権利を完全に買い取らず、ドコモはコンテンツメーカーがiモード上で行うビジネスの料金収受を代行することによって、その代行手数料九%を徴収するという形をとった。こうしておくと、アクセス件数が増えればコンテンツメーカーの売上げもどんどん増えることになる。コンテンツメーカーが頭を絞って開発にしのぎを削ったことで、面白いコンテンツが次々と登場し、iモードの人気が爆発した。これは巨大企業NTTには従来ない発想だったが、それによってドコモはコンテンツメーカーの本気を引き出すことに成功したのである。


 ゴーン氏もまったく同じ態度をとっている。ルノー時代にサプライヤーとの馴れ合い状態を解消し、品質改善とコスト削減を行うためにゴーン氏は、「一緒に問題解決のための仕様を決め、手順を確立したいから協力してほしい」と頼んでいる。彼は、「私がやろうとしたことは、長年の出入りや友好関係に基づく取引ではなく、両者がともに利益を重視するという、ビジネス原則に基づく関係への移行だった」と述懐している。

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「新日本国」の夜明けは近いか






































2016