新日本人のネットワーク基礎能力■
1.ネットワーク運営についての理解がほとんどない
会社さえ存続していれば、社外の人とネットワークを結ぶ必要は感じないし、対人関係は全て固定的な「支配=従属関係」に落とし込めば安心。「人脈とは、癒着と同義だ」と考えている
ネットワーク運営力とは、人脈を作り維持して、さらに広げていく能力のことである。旧日本人には、ネットワーク運営についての理解がほとんどない。なぜなら彼らは、会社さえ存続していれば、社外の人とネットワークを結ぶ必要は感じないし、これまでは対人関係は全て固定的な「支配=従属関係」にしておけば事足りたからである。
しかし、それを価値あるネットワークと呼ぶことはできない。「人脈を作る」とは、あくまでも独立した利害を持つ個人が、互いの立場を侵すことなく、お互いにメリットを得られる高度な人間関係の連鎖を構築するということである。
決して他人と持たれ合い癒着するということではない。しかしこれは、従来の旧日本人の対人感覚では理解しがたいことだろう。ビジネスに必要な資源を全てワンセットで持っていた大企業の組織文化は、ネットワーク能力の点でも社員をスポイルする。大企業の社員たちは、ここに書かれているような旧日本型組織の病理にはまり込んでいて新しいビジネス手法に理解のない上司に掣肘されて、小回りが利かず身動きもとれず、仕事で目に見える成果を打ち出しにくい環境に置かれているケースが少なくない。