新日本人のネットワーク運営力■
2.ネットワーカーとしての能力を備え、ネットワークの結節点となることの有益性を知っている
こうしたネットワーク・コミュニティに参加して利益を得るためには、参加する側の態度としていくつか押さえておくべきポイントがある。
「場」を活かすためのネットワーカーの流儀とは
○自分からオープンに情報発信を行う
○相手から情報を摂取して自分の中で処理し、関係性がありそうな人を紹介することで、「価値が生み出される機会」を新たに作る
○自分がいるネットワーク=「場」のルールや雰囲気をちゃんとわきまえて、その中で独立したプレーヤーとして行動する
○一次的な利己心を押さえ、コミュニティの全体利益を考えて行動する
○そのネットワークの中でも外でも、自分がネットワークから得た情報や価値をアウトプットして人に伝え、最終的には自分が属している「場」の価値自体を高めていくことができる
このような参加者であれば、どこに行っても歓迎されるはずだ。少なくともネットワーク・コミュニティに参加する人にはそうした参加姿勢が望まれていることを理解すべきである。
注目すべきは、「人を紹介する」能力で、これは「この人に役に立ちそうな人を誰か紹介してあげたい」というサービス志向性と、「この人の持っている情報や資源は、実際どの程度役に立つものだろうか。いちばん相関性があるのはどのような人だろうか」という評価能力が合体したものである。つまりここに、ネットワーク能力とビジネス・センスの接点がある。会話の中から相手の興味や、保有している能力や資源を引き出して、それを適正に評価するのは、経済合理的なセンスと洞察を必要とする非常に高度なコミュニケーションである。もしまちがった相手を紹介すると、それまで自分が苦労して築いてきた信用が一度に崩壊してしまうからだ。
また管理職の場合、部下をプレッシャーに晒さなければ、部下の美点は活きてこない。各人の持つ能力を開花させ、しかもチームの能力を総合して組織力とし、ライバルを圧倒するチーム・マネジメントを行うためには、部下の能力を評価する力と、目的合理的思考、それとネットワーク能力を兼ね備えていなければならない。
ではそうした行動を可能にする個人の資質として、ネットワーカーたる者の三大条件を挙げるとするならば
○情報発信力 常に自分から情報を発信する意思を持つ
○価値判断力 人によって異なる情報の価値を、相手に応じて適切に判断することができる
○関係構築力 一対一ではなく、複数の相手の利害を判断して、各参加者にとって最善の関係を構築するよう行動できる
といった能力を備えていることと言えるだろう。
基本的にはこれらの要素は新日本人としての価値観や、組織観・社会観・対人観を備えている人にとってはごく当たり前なことである。つまり新日本人は、意図せずしてネットワーカーの条件を備えていると言えるのだ。
そしてネットワーカーとして得られる利益を最大化するためには、自らがネットワークを作り運営するのが最良の手段である。なぜなら、一参加者であれば他の参加者との一対一の関係から得られる情報しか入ってこないが、ネットワーク・コミュニティの運営者となれば参加者全員との情報交流が可能で、入ってくる情報が一番多くなるし、また他のネットワークとの結節点としてさらに多くの情報を得ることができるからである。