市場原理主義ほど この日本を傷つけたものは多くない 藤原正彦先生論文「国家の堕落」を読む
読書仲間 飯坂彰啓
運営者 藤原正彦先生の『国家の品格』という本は、230万部以上売れたベストセラーで、日本の多くの知識人がこの本を読んで称讃したそうです。
「一世の師表」という言葉がありますが、藤原先生はまさに現代の日本で仰ぎ見られている存在なわけです。
飯坂 今は、単に新書本を読むだけで知識人になっちゃうんですか?
運営者 そうです、なぜならば藤原先生の知性と品格が、この本を読むことによっていただけるからです。
飯坂 まあいいや(笑)。
運営者 その藤原先生の『国家の品格』は、私はお恥ずかしいことに不勉強なので拝読していないのですが、文芸春秋の07年1月号の巻頭論文で、「国家の堕落」というタイトルで、まさにそのエッセンスを集約して載せてくれているという非常にありがたい企画がありました。
常々私も品格を語れるような人間になりたいと願っているので、藤原先生にぜひ勉強させていただきたいと思い、本日はこの「国家の堕落」と題された小論の読書会を開きたいと思った次第です。
飯坂 はいはい。まあ、さっさと行きましょう。
運営者 では、パラグラフごとに行きましよう。
まず先生は「市場原理主義ほどこの日本を傷つけたものは多くない」と、最初から切り込んでおられます。
飯坂 結局、小泉純一郎というとんでもない総理大臣が、みんなのコンセンサスをとらずに市場原理というとんでもないものを導入した結果が日本を傷つけたと言いたいみたいですね。
運営者 そんな感じみたいですが、藤原先生は論点として、市場主義と、帝国主義と、GHQと日教組を同じ類のものとして並べて非難されています。
なかなか藤原先生、さすがに本質にズバリと切り込んできますね。でもちょっと対象がバラバラな感じもしますが。きっと藤原先生は、いかに市場原理主義と帝国主義とGHQと日教組が近い存在か、この後きちんと説明してくれるはずです。
次のパラグラフでは、これらの主義の共通点は「一部の狂信的な人々に主唱された」と書かれていますが、藤原先生によると、市場原理主義を唱えた狂信的な人々とはエコノミストと経済人のことなんだそうです。
そしてこれらの主義の共通点は「大多数の国民にも共有された」ことだと書いておられます。これはまあ事実だと思うんですね。そして2番目の市場原理主義と帝国主義とGHQと日教組の共通点は、「それらのイデオロギーが我が国の古くからの国柄を忘れたものだった」ということなんだそうです。そこで疑問なのは、国柄って何なんだろう?ということです。
飯坂 うーん。江戸時代あたりのことなんでしょうかね。
運営者 国柄とは何かについて、興味を持って読み進めたいと思います。前提がなんだかわからない論というのはなんなのかなと不思議に思いつつですね・・・。