大ベストセラー『国家の品格』の著者、藤原正彦先生の思想のエッセンスがわかる論文が、文藝春秋07年1月号の巻頭論文として掲載されています。わたしも、この現代の言論界を代表する碩学のご高見に一歩でも近づきたいと思い、この論文を味読する読書会を開催しました(かなりワインが入ってますが・・・)。
どうやらこの論文、聞き書きでなく先生がてづからご健筆をお揮いになったものと仄聞しております。同誌をお手持ちの方は、併せて読まれると、先生のお考えがさらにクリアにご理解いただけることと存じます。文中のイタリック体は、論文からの引用部分。
藤原先生の珠玉の御名言を目に焼き付けよ!
市場原理主義ほどこの日本を傷つけたものは多くない
「不況克服のため何でもする」が国民のコンセンサスだった
市場原理主義者は本質が掴めないままアメリカを真似た
誇るべき国柄は制度疲労の名の下にいとも簡単に両断された
「たかが経済」と一喝する真の指導者がいなかった
改革の結果500万のニート、フリーターが出現した
国の借金は小泉政権の下だけで約50兆円も増加した
市場原理主義は教育の格差までをも拡げている
穏やかな心で生きていくことの難しい社会となった
市場原理の行き着く末は、戦いとストレスの世界である
省庁は、決定機関というより単なる実施機関となり果てた
国柄をひとつでも壊す時は、日本の叡智を結集すべし
不合理、非効率でも穏やかな心で暮らしたい人も多い
市場原理至上主義は、情緒とか幸福より効率を至上とする
農産物を完全自由化すると文化、芸術、科学が沈滞する
教育に威圧的に口出しするようになった経済界
小学生に英語、パソコン、金銭教育は不要
イギリスより経済面で優れている日本に英語教育など不要
「小学校へのパソコン教育導入」は業界が言い出したことだ
小中学生の金銭教育は、国民に株を買わせるためのもの
基礎科学、文学、芸術の栄えている国こそが、品格ある国家
市場主義者は我が国の高等教育を無法地帯にしようとしている
学校バウチャーはお金のある家庭に有利な制度
短兵急に実施を迫る経済人のいつもの流儀
市場主義教育のため、子供らは取り返しのつかぬ損害を被る
10年不況の責任の大半は市場原理至上主義者にある
「お金より大事なものがいくつもある」のが日本の国柄
世界を本格的に救えるのは、日本人しかいない