世界を本格的に救えるのは、日本人しかいない
藤原正彦先生論文「国家の堕落」を読む
読書仲間 飯坂彰啓
飯坂 『国家の品格』の最後の段落についている見出しは、「世界を救うのは日本人」なんですよ。
大正末期から昭和の初めにかけて駐日フランス大使を務めた詩人のポール・クローデルは、大東亜戦争の帰趨のはっきりした昭和18年に、パリでこう言いました。
「日本人は貧しい。しかし高貴だ。世界でただひとつ、どうしても生き残って欲しい民族を挙げるとしたら、それは日本人だ」
と言ったことを引用して、
「ここ4世紀間ほど世界を支配した欧米の教義は、ようやく破綻を見せ始めました」「この世界を本格的に救えるのは、日本人しかいないと私は思うのです」と『国家の品格』は締めくくられています。
運営者 僕にはその文章は、話のつながりがよく見えません。ものすごく論理破綻があるんですよね。日本以外の国には世界を救える可能性は全くないのかと聞かれたらどうするんでしょうか? 推論になっていない誤った臆断ですよ。むしろ日本人に世界を救う責任を引き受ける覚悟なんてあるのか? このおっさんは、本気でそう考えているのか? 田舎者ででしゃばりのアメリカ人ならそう言っても不思議はないけど。
飯坂 「世界の警察官、日本」ですか。勘弁してください。
結局この主張は、功利主義的な論理と原理主義的な論理がごちゃごちゃになっているんだよね。
「これが良いと認められるのは、これが良い結果をもたらすからである」という話と、「こうあるべきだからこうである」ということが混然一体となってわけのわからない戯言に聞こえてしまうんですよ。
運営者 自分の「こうありたい姿」が先に立って、現状や実力をわきまえない、笑止な文章じゃないですか。ロジックになってない。これは明らかな戯言、妄言妄説のたぐいでしょう。
このおっさんには、世の中の仕組みがわかっていない。「役所が決定機関でなくなった」って、それじゃまずいでしょう。わかってないにもかかわらず、「日本のため」という巧言、妄説を振りかざして吠えているというのは、彼が非難している「日本のことがわかっていないにもかかわらず、英語だけできる人間が外国に行って、その国に追従することで日本人がバカにされる原因を一番つくっている」というのと相似で、有害の極みですよ。
まあ、はっきり言ってバカと旧日本人につける薬はないってこってす。害虫は駆除すべきだし、有害な犬は首輪をつけてくくっておけと思いますね。町中に放つなと。
飯坂 この本を読み通せるのは、どういう人なんだろうと思いますな。
運営者 きっと自分の忍耐力のテストをしたい人なんじゃないんですか。
あと、文章の中でどのくらい突っ込みどころがあるかを探すゲームをするには格好のテキストですよ。僕がこの藤原論文を読んで思ったのは、これはあまりにもたわごととしか言いようがないんだけれど、ひとつだけ学ぶことがあるとするならば、これだけ短い文章の中で、ここまでツッコミどころを詰め込めるという文章表現の偉大なる可能性について教えてくれたんだと思いますよ。
そういう意味では、『国家の品格』はこの活字離れのご時世に230万部も売れて「日本語ってこんなに素晴らしい可能性を持っているんだ」ということを読者みんなに思い起こさせてくれるありがたい本だと思いますよ。
飯坂 まったくだねえ(笑)。
(この項終わり)