財政赤字は、いずれ国民負担になる
地方自治体を含めた政府部門の財政赤字は800兆円に達しています。さらに明らかにされていない隠れ借金や、郵便貯金や年金の含み損もあるはずです。90年代の中頃には、「国債の発行は将来の世代に対する財産を残すものだ」という学者も堂々と論陣を張っていて、国債発行額はどんどん増えました。「あれよあれよ」という間に財政赤字は天文学的な数字に達したわけですが、この先いったいどうなるのでしょうか。
国民の側から見れば、「心配しなくていいからどんどん借りなさい」と言われて無理に借金させられて、その分が高速道路や福祉センター、使えない公営娯楽施設のような箱モノになったわけですが、これはどう清算を迫られるかというと、結局最終的にはわれわれが負担するしかないわけです。一応議会を通って予算がついているわけですから、民主主義のルールの上でもそういうことになってしまいます。
ただ問題はその方法です。消費税の税率引き上げや年金の負担増についての議論が盛んになっています。少々の増税で問題が解決するとは思えませんが、そうした増税によって行われる分にはまだありがたいのです。
日銀は銀行の信用不安による金融恐慌への対策をばっちり立てているので簡単なことで金融恐慌になるとは思えませんが、もし万が一金融がクラッシュしたら、いよいよIMFが入ってきて日本の金融秩序を立て直そうとするでしょう。預金は封鎖されて強制的に何割かカットされてしまうかもしれません。あるいは、日本の信用が一気になくなって国債が大暴落し、金利が上昇して一気にハイパーインフレになるかもしれません。そうなると日本経済は滅茶苦茶です。そのような形で国民の個人資産が値打ちを失って調整が行われるという可能性もあるのです。
「なるようになればいい」という問題ではありません。努力してコツコツ貯金を貯めた人が報われないという馬鹿げたことにならないためにも、これ以上の財政赤字の拡大は避けなければならないのです。