会社の利益体質をつくるために
【プロ意識】 さて、タコ足経済の最初の問題点である、「どうすれば会社の利益体質をつくれるか」という問題ですが、前例踏襲型の発想やぶら下がり意識ではビジネスの枠組みを変えられません。現在の情勢に企業がビジネスを適応させる方法は各企業各個人によって異なると思いますが、そのためにビジネスマンが身につけなければならない意識は共通していると思います。それは自立した仕事人として責任を持って仕事をするプロ意識、自分の守備範囲は責任を持って執行する役割意識、法律や業界の決め事はきちんと守るというルール重視の姿勢、「自分たちは他のライバル企業と同じ土俵の上で市場競争をやっているんだ」という競争意識、自社の周りの固定的な取引関係に依存するのでなく幅広い取引先や市場を開拓しようとするネットワーク尊重の姿勢、そして自分たちに欠けている部分を補い合うことができる取引相手とパートナーシップを組んでいこうとする姿勢です。
今までのような相互依存的な意識をかなぐり捨てて、自立心にもとづいたビジネスの姿勢を自分のものにしなければ、儲かる企業体質をつくるのは不可能に近いと思います。
自由市場で闘い続けるために
【市場性】 次に、マーケットにはどう向き合うべきでしょうか。自由市場はあくまでも尊重する必要があります。なぜならば自由市場で戦えて初めて、商品としての存在が許されるわけで、競争力のある商品でなければ撤退するしかないからです。今までの日本企業は国内市場にいろいろな規制でタコツボ的な壁をつくり、新規参入がむつかしい寡占市場にして利益を山分けにしていたわけですが、それはもう許されないでしょう。
市場で勝つためにいちばん大切なのは顧客の方を見ることです。顧客志向性です。「そんなこと言われなくてもやってるよ」と思われるかもしれません。しかしそれでも売れないのならば、ライバル企業と比べて顧客への注意の向け方が足りないとしか言いようがないでしょう。顧客は「何が欲しい」とリクエストしたり、「おたくの商品のここが悪い」などと親切にクレームをつける前に他社製品に流れてしまいます。顧客の潜在的な望みまで汲み取って製品化しなければ、現代の競争には勝てないのです。
自由な市場がなければ、個人は閉鎖的なタコツボから一歩も外に出られません。マーケットは個人に自立の可能性を与えるものなのです。自由市場を否定する人は、タコツボに閉じこもっていたい人たちです。しかしマーケットがあれば、一人ひとりの利己心を公益に向けて統合できるはずなのです。だから仕事を向上させる努力している限り、タコツボから出てきても大丈夫なはずなのですが。