中間派には不作為の罪がある
言い訳しながら結果的に改革を妨害している人は、守旧派と同罪です。
「守旧派」から見れば改革派は「悪人」
タコ足経済の中で生きている人たちは、みんな自分の会社や、閉鎖的な取引ネットワーク、利益集団というタコツボの中にうまく棲み分けて、そこに閉じこもって外の世界に出ることなく、ひっそりと息をひそめて生きています。
だから現在の日本は「タコツボ社会」なのです。ここでは、改革者が新しい価値をつくってマーケットに持ち込んでも、「出る杭」として排除してしまう強力な圧力があります。新規参入者は頑強な抵抗を受けてなかなかマーケットに橋頭保を確保できません。ですからタコツボ社会でビジネスをやるためには、旧秩序の中にうまくとけ込まないと、取り引き関係を結ぼうにもなかなか相手をしてもらえず苦労しますし、その結果としてなかなかいいチャンスに巡り合えません。
たとえば外国メディアが首相に取材しようとしても、10年ほど前までは日本の新聞やテレビの記者クラブががっちりガードしていて近づけなかったわけです。ブルームバーグが東証記者クラブに加入するときにも一悶着ありました。ですからタコツボ社会の中で新規参入者が大きな投資をするのは、大きなリスクをとることになります。
これまでの日本は経済規模が大きくて市場としても魅力があったために、リスクがあっても外国資本は海を越えてやってきて頑張って日本でビジネスを展開していましたが、今や彼らにとってみれば日本人はお金を使わなくなったし、あるのは苦労とリスクだけというのではちっとも面白くないですよね。だから東京証券取引所に上場していた外国企業はどんどん上場を取りやめて、91年には127社上場していたものが03年には30社程度にまで減ってしまいました(この「タコツボ社会」のより詳しい分析は後で行います)。