先が見えている新日本人
では反対に、旧日本人たちが内心「無駄なあがきをしてるよ」とバカにしている改革派の人たちは、なぜこうした底意地の悪い連中の妨害をかいくぐって困難な道を歩むのでしょうか。
それは改革派の人たちには、「このまま進んでいくとこの先どうなるか」が見えているからです。改革しなかった場合に自分たちがたどる惨めな道筋がまざまざと見えているから、「これではまずい、なんとかしなければ」と懸命に努力するわけです。現状認識と予測を組み合わせれば、将来を見通すことはそんなにむつかしいことではありません。
だけどその能力がない人もいます。ビジネスマンの中には、先が見える人と、先がまったく見えない人がいるのです。リーダーには「先が見える人」がならなければなりませんが、日本企業は年功序列なので必ずしも先が見える人だけがリーダーになるわけではありません。これがビジネスの現場の混乱の一因になっています。
だけど見えているだけでは旧日本人たちの頑強な抵抗に対抗できません。知恵と根性がなければ「改革の道」を貫き通せないのです。
このような勇気ある改革派の人びと、「結果には確信がないけれども、頑張って自分の道を切り開くしかないんだ」と努力している人たちを、わたしは「新日本人」と呼びたいと思います。
新日本人だけが、会社と日本経済の未来を救うことができるはずなのです。旧日本人と新日本人のビジネス行動がどのように違っているのかについて細かく考えてみたいと思います。