ビジネスマンの階層分化
「自立」を核にした新日本人の意識構造
自立性、社会性、合理性、市場性がワンセット必要だ!
ところで旧日本人が公共事業のタコ足を食べている一方には、「それではまずい」と目が醒めている人びとがちゃんといます。彼らこそ勝ち組となるポテンシャルを持っている新日本人たちです。新日本人でなければオープンな市場においてビジネスで勝つことはできないわけですから。
といっても新日本人ビジネスマンたちは、「自分たちは新日本人だ」としっかり意識しているわけではありません。新日本人は旧日本人の考え方に「おかしいな、なじみにくいなあ」と違和感を持っている程度です。それというのも彼らはまったく違う意識構造を持っているからです。高度な仕事をするようになればなるほど、新日本人と旧日本人の仕事方法の差は大きくなるでしょう。彼らはお互いに決して折り合えないので、いずれは対立します。日本企業の中ではままさまざまなかたちで新日本人と旧日本人の衝突が起きていますが、その頻度と激しさは、今後ますます度を増していくことになるでしょう。
しかしそれは、企業が古くさい体質から新時代に自社を適応させるための脱皮のプロセスなのです。
【自立性】
旧日本人の意識構造はタコツボの中で完結していましたが、新日本人の意識はその殻を突き破っています。
新日本人の意識の中核は、なによりもまず個人として「自立」していることにあります。旧日本人のように会社や政府を頼らず、「自分で付加価値をつくって生きていこう」と考えるのです。ですから新日本人は他人の意見を鵜呑みにしたり、他人の行く方向に無批判についていこうとせず、何事も批判的に考えて主体的に行動しようとします。自分自身も価値あるものを追求していますし、他人がつくったモノの価値も見極めようと考えます。
そしてよりよいものをつくるために、常に昨日の自分を乗り越えるために努力をしています。新日本人はいつも前進を心がけています。そうしなければ自立できないからです。
【合理性】
この自立性が新日本人の第一条件ですが、新日本人が行動を通して他人や世の中に働きかける場合に、2つのことについて常に意識していると思います。
ひとつは「合理的」に行動することです。旧日本人であれば、組織のしがらみや先輩=後輩関係、義理人情やしきたり、メンツ、その他いろいろなものにとらわれて、ともすれば相手の顔色を見た判断を行いがちです。それは旧日本人の社会では、他者との継続的な関係を優先した方がなにかと都合がよかったからでしょう。しかし新日本人が物事を判断するときには、対人関係よりも、経済合理性や目的合理性を優先します。経済合理性というのは、効率や生産性・利益・コスト削減を最重視する考え方です。目的合理性というのは、目的の最短コースでの達成を常に考え続ける態度のことです。旧日本人たちは、こうしたことよりも上司や利害関係者の感情を優先して、効率性を犠牲にした判断をしてしまいます。それが仕事がうまくいかないひとつの理由だと思います。