【働く哲学】
その真ん中に、新日本人の労働に対する意識が形成されているはずです。すなわち、まず第一に新日本人はプロフェッショナルでなければなりません。プロであるということは、他のだれにでもできない、自分自身のオリジナルの仕事がきっちりできるということです。ですから、新日本人は「とりあえず人のまねをしてやっつけておけばいいだろう」と考えず、何でも新しいことを取り入れて常に自分の能力を磨こうと努力します。そこに「革新」の契機があります。
それから新日本人は自分に与えられた役割をきちんと果たします。守備範囲は完璧にこなします。これは案外むつかしいことです。旧日本人のように自分の仕事はいい加減にしているくせに、他人の縄張りに口を出して自分の勢力範囲を広げようと余計なエネルギーを使うことはしません。
そして新日本人が仕事をするときには、法律や定められた公正な取引のルールきちんと守ります。旧日本人のように自分の仲間うちのルールを会社の外にまで延長して、不正を行うようなことはしません。それは長期的にみれば必ずしっぺ返しを受けることを知っているからです。現在のところ、「ルールを守らないと儲かるはずないじゃないか」と思っている人は少なくありません。しかしそういう状態はずっと続くわけではなくて、業界は変化していくはずです。変化を先取りした者が勝つ可能性は高いはずです。
そして彼は、常に視線を会社の外に向けて、「オレは自由市場で他のライバルたちと競争しているんだ」という意識を持っています。競争に勝つためにはうちわ揉めをしているひまなんかなくて、同僚の足を引っ張るよりも組織力を発揮する方が大切です。ですから新日本人は、最終的に会社として利益を得られるように「全体最適」を考えた仕事の仕方をします。つまり、自分が常にプロジェクトの中心にいなくても、誰もカバーしていない部分を積極的にフォローするような立場に回ることで、全体の勝利に貢献するといった立ち回りができるということです。