社内闘争に勝っただけではダメ
スクラムを組んだ新日本人たちの努力が功を奏して旧日本人から実権をもぎ取れれば、その会社の看板を「旧日本人型組織」からぴかぴかの「新日本人型組織」へと書き換えられるでしょう。この組織は、新日本人的な合理性と戦略的判断にもとづいて大胆な社内改革を行い、会社の方向を大きく修正できるはずです。
しかし、勝負はそこで終わりではありません。企業の活動は、市場の評価にさらされています。もしうまく社内改革に成功しても、市場競争に敗れてしまえば、またじり貧コースに戻ってしまいます。ライバル企業との市場競争に勝利を収めて初めて、会社は再生し「新日本人型企業」と呼べるようになるはずです。こうした企業はアジアが相手であろうが、アメリカが相手であろうが、国際競争可能な収益力と組織体質を持ったものになるはずです。現在の日本で立派に儲けているソニーやキヤノン、ホンダといった会社はこのような新日本人型企業であると考えられます。また日産自動車や新生銀行は「旧日本人型組織」から「新日本人型企業」への脱皮を果たした会社だと言えるでしょう。
闘う以外に脱出口はない
一方、旧日本人たちの中で雌伏して、時期が来るまで爪を研ぐ道を選んだ新日本人たちはどうなるでしょうか。旧日本人に会社経営の舵取りを任せていると、時間がたてばたつほどさらに経営状態は悪化するでしょう。いまや同業他社よりも他業種からの参入のほうが怖い時代です。中には闘わないままで市場競争に敗れてつぶれてしまう会社も出てくるでしょう。
そういう会社が増えれば増えるほど、今までは「生産力」だった労働者が、「失業者」という社会のお荷物に肩書きを変えて、経済状況はどんどん悪化してしまいます。「つぶすには大きすぎる」といった理由で、会社が金融機関からの支援を受け、点滴や酸素吸入を受けながら生き延びたとしても、このような深刻な不況の中で放っておいて業績が上向くはずもなく、結局その中にいる新日本人たちは、「やっぱりわれわれがなんとかしなければならない」という焦りに駆られて行動を決意するという・・・結局は元いた地点に戻ってくるだけなのです。そのような無限のループが新日本人を待っているのです。
つまるところ早い話が、出口は旧日本人との間で社内闘争をやって、彼らからヘゲモニーを奪い取ることにしかないというのが結論です。新日本人は誰ひとりとして逃げられません。他の誰でもない、自分が立ち上がるしかない。他に道はないのです。