抵抗するなら相手の地位を剥奪せよ
闘いはいろんなパターンで進行するでしょう。うまくすれば、新日本人のロジックを社内に徹底させることで旧日本人の態度変更を誘い出し、社内改革を軌道に乗せることができるかもしれません。彼らがこだわっているのはたいてい小さな見栄で、それが彼らの弱い心を支えているからこだわっているのですが、その無意味さを示してやれば、意外とポッキリ折れるかもしれません。これは非常にスマートで望ましいやり方です。
しかしどうしても旧日本人が実権を手放さない場合には(そういうケースは少なくないと思いますが)、相手の地位をはく奪するという強硬手段に訴えざるをえなくなるでしょう。でもそれは最後の手段であって、最初からこれを目標と考えると、時間とエネルギーを浪費することになると思います。実力行使はあくまで最後の手です。
相手の地位を奪うためには敵の人事権をにぎっている上役を説得する必要があります。いちばんいいのは株主やトップを味方につけることです。しかしそれがうまくいくことはきわめて稀です。なぜならば旧日本型のピラミッド組織では、派閥が形成されていて、同じ派閥の部下に目をかけることで上司は自分の足元を固め、さらに出世を狙うという構図ができあがっているからです。部下の首を切ることは自分の出世の妨げになるわけですから、そんなことをしたがるはずはないですね。
そこで新日本人が敵の首を取るためには会社のオーナーである株主に対して訴えかけるとか、不正の証拠を発見してオープンにし相手の責任を問う、争点を全社的なものに拡大し敵対する派閥に協力して敵である旧日本人を追い落とすといったドラスチックな形をとらざるを得なくなります(03年3月、日本経済新聞社の鶴田社長に子会社の手形乱発問題や女性スキャンダルなどを理由に、取締役解任を求めた同社編集局の部長も、株主に対する説得工作を行っています)。MBOも選択肢の一つになるでしょう。