木下 子供の健康を考えて関東から避難したお母さんの中には、僕に近いくらい大きな問題として被曝問題や原子力発電の問題を捉えている人も多くいるとは思いますよ。
だけどね、さも評論家のように被曝関連情報のようなものをネット発信している人たちとの間には、僕はかなり温度差があるのですよ。何というか、遊びでやっている人たちが多すぎるのです。
その温度差が最終局面にまできていて、これはもうこれ以上は持たないので、状況が大きく変化していくと思うんです。
運営者 それはね、3年半というのは長かったですよ、まったく。
木下 長かった。
だからおかしい人は、どんどん切り捨てます。これは、より明確化したいと感じています。そしてさらには、放射能防御プロジェクトの内部でも、あまりにもイデオロギーに偏った人たちを一定数は切って行くことも、考えるしかなくなると思います。左右とも。
それよりも、普段は本当に参加するようなことのない無関心層の人たちを取り込む、生活保守的な人々が参加してもらう枠組みのようなことを考える必要があるのではないかと思っています。経済的には豊かで、対応できる能力があっても、これまでは社会的な問題を自分のこととして考えなかった類の人々。そういう人たちがはじめて関わってくる可能性があるとは思っているのです。実質の問題ですから。
運営者 本当は311直後に左翼サイドの連中が最初にそうしておけば、一般層を大量に取り込むことができたのに、馬鹿だなぁと思いますね(笑)。
木下 それが、特にできなかったのが反原連のみなさんなんです。
つまり、原発に反対するのであれば、「放射能による健康被害は恐ろしい」と言うべきなのに、「福島は汚染されていて危険だ。汚染地からは避難もありえる」とさえ認めなかった。放射能汚染の危険に関しておかしなごまかしを続けた。原発反対だけでまとまると考えた。
そりゃ原発反対は事故後に増えました。でも、それはどうしてなのか。その理由は、放射能拡散による健康被害が怖いという実感がはじめておきたからです。
でも、その実感に関わる根底のところを、反原連の連中は避けた。避けたに止まらず、僕を含めた被曝回避側を攻撃した。
本末転倒だし、根幹のニーズを捉え損ねたのでしょう。反対運動としての反原発がやりたかっただけ。自己顕示欲が満たせただけで、一般国民の怖れや心情を理解していなかった。問題の根幹も。
原発が、事故が起きても健康被害をもたらさないなら、原発に反対するロジックは成立しません。僕には意味がわからないし、大きな日本でのチャンスを失うことになりましたね。彼らの能力ははっきり言って相当に低いですから、しょうがない気もしますが。本当に情けない話ですし、日本の進路は厳しくなりましたね。もし、放射能リスク、被曝問題をきちんと言っていれば、さらに広い範囲の人たちを取り込むことができたでしょうね。
運営者 結局「活動と自己顕示が第一で、イデオロギーが第二、被曝回避や脱原発はどうでもよい」という馬脚を表しただけなんですよ。
何度も繰り返しますが、被爆回避というのはイデオロギーの話ではないんです。
どちらかというと公衆衛生とか厚生行政レベルの話であって「放射能が危ない」というのは右も左もないんです。
木下 全くです。