運営者 「食べて応援」のみなさんも、20ベクレル基準値となると、自分がやってることを見直すかもしれませんね。
木下 推進側は、福島に全国から修学旅行を誘致するとか、スポーツ大会を誘致するとか、いろんなことを執拗に仕掛けてきているわけです。
僕にはこういう人たちのことをよく理解できませんが.また彼らには資金力もあります。やり続けることが彼らの命題になっています。福島出身の人で、避難している人と話すと、「こうしたことは理解できない」とみんな口々に言いますよ。福島からの避難者のまともな人で、こうした形での福島応援を肯定する人には会ったことがありません。
運営者 まぁそうでしょうね。
ところが一方で、「福島ではたいしたことは起こってないんだ。問題ないから高校生や若者のみなさんどんどん来てください」と言っている人たちがいるわけです。
木下 僕が初期の頃から「福島から避難すべきだ」とあまり言わないのは、「そんなことは自明のことだとわかっているでしょ」と思っているからです。
そう思わない人に対しては、「どうぞご自由に」と言うしかないですよ。
まあ、汚染地から避難する自由もあれば、汚染地に留まる自由もあるわけですから。
運営者 まったくその通りです。
木下 同じように放射能に汚染された食品を食べる自由もあれば、避ける自由もあるはずです。
だから「どうしても100ベクレル以上のものを食べたい」という人がいるのであれば、ぜひ食べていただけばいいと思います。だけど、それを一般流通させるのはやめてくださいと言ってるんです。
運営者 「食べる自由も避けるも自由もあるんだから、訳が分からないようにするな」ということですね。
木下 リスクコントロールの観点からすれば、縛りとしては強めたほうがいいわけだから、20ベクレルに強化するのがよろしいんじゃないでしょうか。
運営者 100ベクレルを基準値として暫定的に置いたのであれば、「なんで20ベクレルにしないんですか?」と思いますよね(笑)。
木下 それが前から疑問なんです。もし、20ベクレルに基準値を上げると検査コストが極端に高くなるのであれば仕方ないと思うんですが・・・
運営者 20ベクレルなら、安価でかなり普及しているシンチ(NaIシンチレーション式ガンマ線スペクトロメーター)で測られるだろうと。
木下 測定時間も大して変わんない。じゃあなんでやらないんですか?
そのごまかしを認めるか認めないかの問題だけなんです。
運営者 10ベクレルと20ベクレル間には、何か境目があるんですか
木下 そこは機械の種類によるんです。だめな機械だと検出限界が20ベクレルというケースもあるんじゃないかなと思います。
運営者 とすると、20ベクレルで線を引くというのはとても現実的なことですね。
木下 そうです。25ベクレルという線も考えられます。
運営者 それでなおかつ、20ベクレルでも不安だと言う人はいらっしゃるはずです。
木下 当然です。そういう人はそういうことで自分で気をつけていただければいいんです。
だけど基準値を20ベクレルまで上げれば、現在流通している100ベクレルから20ベクレルまでの汚染食料は流通しにくくなりますから。
その分安全度が高まります。そのように生きていくのが現実的ではないでしょうか。
運営者 状況の推移を見て、「一般食品基準値の20ベクレル運動」というのは十分ありえますね。