木下 それから、2015年は原発事故から4年になるわけですが、自分たちの生活パターンを再度見直すということをやったほうがいいかもしれませんよ。
運営者 ほうほう、どうすりゃいいんです?
木下 もちろん放射能は問題ですが、みなさんには放射能以外にも経済的なこととか、周囲との対人関係とか、いろいろな問題があるわけです。
そういうところに自覚的に注意を向ける必要があるということです。そこと被曝問題との距離感を考えるべきでしょう。
運営者 ふむふむ。
木下 つまり被曝問題のことを考えてなきゃいけないのは当然なんですが、周囲の人たちは全く考えてないわけですから、周りの人たちとの距離感を考えて、その中でどこまで何を言うのか、何を言われた時にどのように返すかといったことについて考えるべきだと思います。
もっと言うなら、被曝問題と関係なく、周囲の人たちとどのような社会的関係を作るかじっくり取り組むというのが、これからみなさんがやるべきことなのではないでしょうか。
「緊急避難状態」というのはせいぜい3年で終了ですよ。いつまでも仮の状態ではダメなので、もう次のステップに移るべき時期になってるんです。5年目以降になると、健康被害の具体的な報告がいろいろ出てくるでしょう。そうした中で自分自身がどの方向に足を踏み出すのかということが問題なのです。
運営者 みなさん、現実の生活があるわけですからね。
木下 今でも僕のところに避難の相談がよく来ています。そういう人たちは、避難先の汚染度のことばかり気にしています。だけど「そういうことはもういいから、経済的な見通しは立っているのか、人間関係は大丈夫なのか考えていますか?」と聞いたら、ほとんど気にしてないんですね。
運営者 4年近く経って汚染のこと気にしてるって、じゃあ今まで何してたんですかという気がしますが。
木下 それはね、いまから避難しようという人は汚染については大体正確な知識をお持ちなんです。だから僕に聞かなくても、本人はわかってることを尋ねているんです。
そんなことはどうでもいいからそれ以外のことは大丈夫なんですかというんですけどね。
運営者 では、避難者が避難する先を決める際に、チェックしておかなければならないのはどのような点なのか教えてください。
木下 まず医療ですね。避難先の候補地にどういう総合病院があり、どのようなクリニックが何軒あるか、どのような医療的対応が可能なのかについては、絶対に事前に確認する必要があります。
初期被爆をしている避難者は、どのような健康状態の変化が起きるか分からないからです。
クリニックであれば、どの大学の系列で、どういう診療科があり、そこにどういう医者がいるかまで調べていくと良いでしょう。
運営者 甲状腺(内分泌内科)と血液内科ですね。なかなか血液内科は無いですよ。