木下 そうした知見のある医師が自分の避難先の20から30キロ圏内にいることが分かっていれば、かなりいいですね。車ですぐ行けますから。
それがわかってれば、いざという時にどうすればいいか判断できますから、そういうことがすごく重要なんです。
もし身近でない遠距離の病院に通う事になってしまうと、それで日常生活にかなり負担がかかってしまうことになるので大変なんですよ。
運営者 そうなると、ちょっと大変ですね。
木下 別にこれは都市部でなければ条件を満たさないというわけでもありません。田舎でも、ちゃんと病院があるところがあるし、逆に都会にも病院の空白エリアもあります。
運営者 血液内科にしても、産婦人科にしても、ないところが多いですよ。
あと大切なのは日曜診療の小児科とかですね。
木下 そうしたことは踏まえる必要があります。
もしお子さんの甲状腺に異常があるのであれば、一定レベル以上の甲状腺医療ができるクリニックに近いところに住むことをおすすめします。
ネットなんかで調べればいいんですよ。
一番簡単に分かるのは、甲状腺の手術数を調べてみてください。手術ができないところはまずだめですからね。
運営者 まったくだ。いま木下さんのおっしゃったのは単純な調べ方なんですけれど、なかなか気づかないことですね。
木下 福岡なんかは、甲状腺関係の医療環境はかなりいいですよ。やました(甲状腺・副甲状腺)クリニックもあるし、九州大学もあるし、体制が整っています。
甲状腺に関しては、やましたクリニックと大分の野口病院が図抜けていると思います。
その次に有望なのは関西でしょうね。
それから、これは甲状腺に限りませんが、その地域で、相談ができる内科医か小児科医を必ず1人作ってください。
運営者 そういう状況を自分で作れるか、知り合いに頼めるところが望ましいでしょうね。
木下 いちばん望ましいのは、結構難しいんだけど、「私は放射能汚染が気になって首都圏から避難しているんです」ということをはっきり話して、それを拒絶しない医者を探すということです。
そういう医師は汚染地にはいませんが、避難先には意外といるんです。
運営者 それは頼もしい!
木下 思わぬくらいにいますよ。
あと大学病院のレベルをチェックですね。そういう意味では岡山などもなかなか有望です。
運営者 あと、学校についてはどうですかね。
木下 ひとつは、給食問題ですね。
学校給食の献立や食材が自由に決められるのか、共同一括仕入れなのかというのは、その場所によって全く違うので、通学することになる学校自体を調べるしか手はありません。
改善するために給食センターの栄養士や、学校と話し合う必要がありますし。
運営者 どうしてもだめな場合は弁当を認めてもらえるかどうかになりますね。神経質に思えるかもしれませんが、初期被曝をしているわけですから、なるべく追加的な被曝は避けるべきです。
■木下黄太氏インタビュー
今そこにある「放射能危機」の本質 2014年4月
「放射能防御」と脱原発を巡る、もろもろの事情 2013年7月
被曝回避、放射能防御の現状と展望 2014年11月