ウルトラマンは日本人の依頼心が生んだ
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 面白いと思うのはね、人間のほかにも社会性を持っている動物というのはアリとか蜂とかいろいろいますけど、人間は相手と通じ合うことによって大きな喜びを感じるという動機を、さっきの数学の問題を解いたときに得られるのと同列の大きな喜びとして持っているんです。
飯坂 それが生きることそのものですからね。人間は人とはぐれたら死んじゃいますから。
運営者 多分数学の問題を解くのもそれと同じような「動機」からスタートしてるんだと思いますよ。あるいは権力動機とか、相手にサービスをしたいという動機とか。
まあ個人が社会性の部分を持っていなかったとしても、社会が成り立っている限り人はどうにかして糧を得ることができると思います。
それで、今の日本社会や日本企業で特に必要とされている能力は「変革推進力」なんですよ。
物事を変えていくというのはどういうことなのかな。
飯坂 そろそろ、日本でも「神を殺す」ということでしょう。
運営者 まったくその通り。見出しになりますね。だれが神を殺すのか。
飯坂 だっていまだに「いつか神風が吹く」と信じている人もいますからね。
運営者 だから景気対策を続けているんですよ。バカじゃないの!? すっ、すみません、思わず感情が出てしまいました。
飯坂 神風を吹かせようと思ってるんですよ。どうしてそう信じられるかというと、自分たちは選ばれた民であって、救われなければならないからなんです。いままでも景気対策を続ければ神風が吹いて経済は上向いてきたわけですから。
運営者 神風特攻隊では3000人以上の若者が死にましたが、戦争には勝てなかったじゃないですか。その経験は一体、どこにいったんでしょうね。それを忘れるために朝日新聞は、靖国神社への参拝を否定しようとしているんでしょうか。
それともその後の朝鮮特需という神風でチャラになったのかな。
高度成長期というのは大変な神風だったかもしれませんが、でもオリンピック不況もあったし、円高不況もあったし、次の景気回復局面で、そうした経験はその都度忘れていったのかな。
「神様仏様が何をやってくれるというわけでもないんだ、自分の道は自分自身が切り開いていくんだ、価値を作り出していかなければならないんだ」という発想がないとね。
飯坂 でも神風が吹いたら、自分の力なんかないじゃないですか。
運営者 だって神風というのは困った時に吹くのでしょう。
飯坂 ウルトラマンなんですよ。ウルトラマンが飛んで来てくれるときというのは我々が困っているときです。
運営者 なるほど。どうしてウルトラマンはわざわざ随分遠くから飛んできてくれて我々を助けてくれるのかということですね。随分おせっかいな人ですよね。何の説明もなく宇宙から身長40メートルの巨人が飛んできて怪獣をやっつけてくれるという。何それ一体? アングロサクソンには考えつかないシチュエーションでしょうね。