ネットワーク能力とビジネスマインド
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 それにしても、どうやったら旧日本人から新日本人になることができるんでしょうか。
運営者 ひとつにはITを使って、メールのやりとりをしたり、あるいはBBSを使ったりして、ネットワーク上でのフラットで、情報を積極的に出す人間に対してますます情報が集まってくるという本質的なコミュニケーションの能力を磨いていくということがあります。情報力中心の社会の序列ができるということは、従来のピラミッド組織とは違う在り方がそこに存在するわけですから。
考えてみると、コミュニティとコミュニケーションという言葉の語源は一緒なんですね。細かい事はわかりませんが、意思疎通を図ることによってお互いが協力しあうことのできる組織を作ることを意味しているのではないかと思います。これはなかなか、上意下達の日本人型組織になじんでいる人には理解できない概念ですし、いかに新しいタイプのコミュニケーションが難しいかということを表しているようにも思われます。
飯坂 あまりにコミュニティがフラットであると、水が広がっていくように情報が散漫に拡散してしまうので、適度な仕切りがあった方がいいと思いますけどね。
運営者 そこが工夫なんですよ。
フラットな関係性の中で、「いったい何をすることに価値があるのか」とか、「われわれはどういう価値を求めるべきであるのか」という価値観に従って、人的資源や情報が偏在するという形に間違いなくなるでしょうね。またそうならなければ、それらの関係性の中から効率よくアウトプットを導き出すことは難しいでしょう。そういう複雑系的な離合集散で自律的に秩序が形作られ、価値を創り出すためのシステムができあがってくるはずですよ。
もうひとつ、新日本人に脱皮するためのきっかけとして、何かプロジェクトリーダー的な立場になることによって、「自分がやろうとしてることの目的は一体何なのか、それは意味のあることなのか」といったことを判断したうえで、自分が使える資源の最適な配分を行い、プロジェクトにトライしていく。そしてうまくいったり失敗したりということ何回かやっていくうちに、経済合理性という感覚をしっかりと身につけることができるでしょう。
これと同時にネットワーク能力があれば、自立した人間としてやっていくことができる最低限の能力を身につけているということができるのではないでしょうか。
新日本人を作り出していくために、教育で教えなければならないのは、これだと思います。飯坂さんがこの前言った、「読み書きそろばんE-mail」にプラスして、経済合理性を含んだビジネスマインドと、ネットワーク能力を意識の中に落とし込んでいかなければならないんだと思うんです。
飯坂 ビジネスマインドというよりも、「均衡をとる」ということなんでしょうな。
運営者 バランス感覚ですか。