世の中のお荷物である銀行には発言権などない
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 僕はね、こう思うんですよ。預金者は、預金をするにあたって、「自分が預金した金がきちんとした金利を生む」というある期待をしているわけですよね。少なくとも預金が5%くらいの金利を産んでくれなければ、金利生活者という階層はいなくなるわけじゃないですか。
飯坂 本来、金利生活者というのは存在し得なくて、可能性があるのは「投資によって生活をする資本家」という階層だと思いますよ。
運営者 わかります。まともな資本主義社会であればそうなるはずなんです。だけど日本は間接金融偏重の修正資本主義ですから。そして、その現実が銀行の怠慢を許すという法もない。
それで、ここまで金利が低ければ銀行に預金をする意味なんて決済機能を除いてはまるっきりないわけですよ。どちらかというと、バカにされているような感じですよね。
にもかかわらず、あり余っている金が投資に向かわない。結局みんな銀行に金を預けるしかないのだから、「銀行をつぶせ」という話にはならないという悪循環です。
これだけ社会的にみて資金効率の悪いことをやっていて、恬として恥じない銀行というのは、まったくふざけきった連中だと思います。少なくとも反省の色くらいは見せてほしい。
民間金融機関に預金残高が500兆かそこらあると思うんですよ。それだけあるんだったら、それを循環させることによって年間5%を預金者に返し、1%自分が受け取るというんだったら何の文句もないんです。現実的には預金者に対しては金利はゼロで、銀行は不良債権処理をすることで大赤字を出している。92年以来、銀行が処理した不良債権は72兆円だそうです。しかも税金投入という機会損失まで社会に強要している。信用創造機能は、第二次石油ショック時並まで低下しているんだそうです。
過去15年を振り返ってその程度の運用能力しかなく、このような巨額な資本の無駄使いをした銀行というのは、社会的にはお荷物どころか「悪」ですよ。だから、「お前らは出ていけ」と言いたい。ところが現実には、われわれはそういう金融システムしか持っていないわけでして、自分たちの無能に対する憤りと哀しさを感じますよ。
飯坂 それだったら、銀行が中小企業に金を貸すのでなく、国が貸すようにすればいいですよ。ホントにそうなったら困るけど。
運営者 私も全く賛成です。これはどういうことかというと、銀行は行政がやる程度の資本効率しか実現していないということで、プロとしてかなり恥ずかしいことだと思いますよね。とてもプロとは呼べない。
それで不良債権処理についてですが、僕は、銀行はこの不良債権処理問題について全く発言権はないと思っています。なぜなら、大蔵省と彼らがこの状況を作り出した罪人だからです。彼らに当事者能力はない。あったらこんな状況には追い込まれないはずなんです。
12兆円もの公的資金の導入を受けていて、これ以上いったい何を要求するというのでしょうか。そしてね、日本の民間企業の中でも、最も良質とされている人材が行っているにもかかわらず、日本の銀行が総て腐ってしまった。それだけ優秀な人材を注ぎ込みながらまったく力を果たさず、社会的機能も不十分にしか果たせないものしかできなかった、むしろ世の中のお荷物になってしまったということは、一体どういうことなんでしょうか。
たいへん恥ずかしい話だと思いますね。