「単純に役に立つ情報」はとことん疑え
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 我々が話しているような話題が、一般には「あまりおもしろくない」と言われるのは、旧日本人の持っている「知」への欲求が、やっぱり「単純に役に立つ情報」でしかないからなんじゃないかな。
運営者 なるほど、面白い。
飯坂 自分にとってすぐに役に立たない情報というのは、彼らにとっては「知」ではありえなくて、単なる攪乱情報でしかないんですよ。だからTVの情報番組や、商品情報ばかり載せている雑誌がはやるんですよ。旧日本人は直接的な効用のないものは受け容れない。BBCドキュメンタリーのような「知」への欲求があふれたものなんてのは、全然受けないわけです。
運営者 だけどBBCドキュメンタリーを見ると、世界の興味深い習俗を知ることによってわが身を振り返り、自分が何者かを知ることができるじゃないですか。
飯坂 そこに普遍的なものを見い出して、自分の糧とすることができるわけですね。
運営者 自分たちと、自分以外の人との差違を見いだすことによって、「自分とは何者か」ということを知るわけです。
飯坂 あるいは自分の知っている法則を、自分以外に当てはめてみて、その法則の修正を図るとか。
ところが、旧日本人はそんなことをしようとは考えもせず、ただ与えられた情報をそのまま使いたいと思っている。
運営者 要するに、現在の旧日本人が欲しがっている情報を、今のメディアは流しているということであって、故にメディアの程度が低いと言うことはできるでしょうね。