■徒党を組み、敵味方を分けたがる / 会社は他者との共働の場2
若造 旧日本人がやってるのは、体育会的ななれ合い文化を組織の中で広げていくやり方だけど、そんなふうにおんなじ職場の人間たちと飲みに行って、傷を舐め合って、一体何の得になるのかな。仕事ができない人間の数を増やすだけじゃないの? だったら家に帰って、英語の勉強でもしたほうがましだよ。少なくとも今後は、新入社員にそんな教えを垂れても、だれも耳を傾けないと思うよ。
「自分をプロとして磨くためにその会社にいる」と思っている社員だったら、そんな馬鹿げた説教につき合うはずはないよね。
おやじ そんなに嫌なら、やめてひとりになればいいじゃないか。そこまで言うのに、何のために会社に残ってるんだ?
若造 ぼくらは、会社は「他の人と共働する場」と考えてるんだよ。
せっかく利害を同じくする仲間が大勢いるんだから、「自分にはできないこともいっぱいあるし、逆に他人よりも得意なこともあるわけで、その得意な部分を活かして仕事を行い、自分に足りないものは、他の誰かに加えてもらえばいい」と割りきって考えればいい。欠けている部分を補い合えるパートナーを社内から見つければ、お互いが得をするでしょう、それが会社にいる大きなメリットなんだよ。
旧日本人のように、人より偉い「お山の大将」として一人で頑張っていても得られるものは少ないよね。
ところが相手が旧日本人だと、ぼくたちのそういう意図は伝わらなくて、警戒されるだけだからかなしいんだよな。旧日本人とは対等の共働関係はつくれないや。
おやじ 「対等」というのは通じないわな。オレの上に立つのか、従うのかをはっきりしてもらわないと。相手より上に立つためには、すべてにおいて相手より優勢でないと認められないだろう。
若造 あーそうだ、僕が企画を出して、「空いている資源は自分はどこにあるのかわからないので補完してください」とブランクにしておくと、その時点で「これは企画とは認められない」と言われておしまいだよね。旧日本人は、アイデアを出し合って高めていこうとは考えない。まったく他人にぶら下がるか、他人を支配するかという選択肢だけで、一緒に価値をつくっていこう」とは考えないんだよなあ。