■仲間主義=結果平等 / 実力主義2
若造 同僚を選んだのはぼくじゃなくて会社だ。自分が選んでいない相手と、どうして運命を共にしなければならないの?
おやじ そういうもんなんだ。人間というのは寝食を共にすればお互い理解できる。余計なことを考えちゃいかん。
どうも最近能力主義、成果主義などというものを振り回す考えの足りない輩が多いが、そんなものを取り入れてモラールが下がり、職場の雰囲気が悪くなったらどうする。同期の人間の中で、「あいつはオレよりも給料がいいんだから、おれより働くべきだし、オレはちょっと手抜きしてもいいだろう」なんて考えられたら、職場が荒れてしまうぞ。ましてや歳下の人間が上司になったりしてみろ、オレだったら会社に行くのが嫌になるね。女が上司でも嫌だな。
若造 ぼくだったら、年下であろうが、女であろうが、仕事のできる人の下で、その人の仕事振りを勉強したいと思うけどね。
能力主義の評価を否定するということは、実力のある人間から見ると、「オレは搾取されている」ということにならないかい?
おやじ だから、そういうことを考えちゃならんということだよ。
若造 つまり、旧日本型組織では組織を完全に肯定し、信頼しなければならないから、あらゆる不満は持ってはならないということだね。だけどそれは無理があるよ。そんなに優秀な人なら、外資系企業に行けばすぐに年収が2倍、3倍になるはずだよ。
おやじ そう言って考えの足りないものは、すぐに金につられて外資系企業に行くが、待遇がいいのは一年目だけで、翌年からは前よりも給料を減らされたり、悪くすると、クビになったりするらしいじゃないか?
若造 百歩譲ってもしそうだったとしても、それが「日本企業の中では優秀な人間から不当に搾取してもよい」という理由にはならないよね。「自分は人よりも仕事の成果を出しているのに、それなりの待遇を受けていない」という不満は、まともな経済感覚を持っている証拠だよ。
むしろそれを持たない人間というのは、「なるべく周りの人と同じようなことを考え、同じような選択をしておけばまちがいない」という相対主義的な考え方を持っているから、そういう人に独創的なアイデアを打ち出せるか疑問だね。これから仕事の上で価値を生み出すことができる人間は、独自の価値観を追求し続ける姿勢を持った人だと思うよ。そういう人は、仲間主義を決してよいと思わないし、待遇を同じにする結果平等の組織は、自分の居場所だと思わないだろう。