■「場」に参加できず / ネットワーカーとして活躍
若造 そう言えば、ちょっと前に「ビットバレーに行った」って言ってなかった?
おやじ あーっ、あの渋谷あたりでやってた若者たちの集まりだっけ? 部下に連れて行かれたことがあったな。全然違う会社の集まりなんだけど、子供の遊びのようなベンチャー企業ばかりだったな。
若造 その中から、何社も上場企業が出てるんだよ。
おやじ ホントかよ。
若造 そういう社外のネットワーク・コミュニティーになんて行ったことなかったでしょう?
おやじ ああ、あんなものは昔はなかったからなぁ。
若造 あれがこれからの人脈づくりなんだよ。あのワイワイガヤガヤの中に宝の山が埋もれているんだ。
おやじ ITブームがあったからだろう。それでオレも参加してみたんだけど、なんだかさっぱりわからなかった。ただのパーティーじゃないか。中で営業活動をやらせてもらえるのかなと思ったら、そうでもないようだし、全然つまらなかったな。だけどまあ、オレだってそういう場に一応参加してたんだからすごいだろう。当分自慢できたよ。
若造 ネットワーク・コミュニティは、参加すること自体に意味はなくて、自分から積極的に相手にぶつかって、相手から何かを得るように努力する必要があるし、参加者はコミュニティを維持するためにおのおのコストを払う必要があるんだよ。
おやじ ふーん、会社に入ればこちらが何でも一方的にもらうだけなのに、そんな面倒なことをしなければならないのか。例えばどういうことをする必要があるんだ?
若造 そのネットワークにふさわしい参加者を一緒に連れて行ってやるとか。
おやじ そんなのイヤだよ。自分だけがそこに参加しているから、自分の周囲の人間に比べて優位に立てるんじゃないか。
若造 その考え方はまちがってるんだよ。人脈というのは、自分が持っている人脈を出せば出すほど、どんどん増えてくるものなんだ。だからドンドン紹介すればいいんだよ。
それは情報も同じ。自分が知っていることはどんどん伝えていけば、みんながいろんな意見を加えてくれるから、いいものができ上がっていく。リナックスなんていうコンピューターの基本ソフトはそうやって、みんながよたかってつくったものだよね。それを公共のものにするのが嫌なら、β版みたいに自分の権利を守るようにうまくコントロールしながら人の意見を集めるようにすればいいし。
お金というのも、まったく同じような性質を持っていて、タンス預金にしていたのではまったく増えないよね。銀行に預けるとか、株や債券を資本市場で買えば、利子を連れて戻きてくれるでしょう。