■インターネットになじめず / ネットで「無」から「有」をつくる
おやじ うーん。そういうやり方は、われわれの世代は習ってこなかったんだ。
まあ、オレには関係のない世界だと思うが、そういう「場」の中で生きていくためには、どう振る舞ったらいいのか教えておいてくれよ。なにか役に立つかもしれないからな。
若造 まず、自分からオープンに情報発信を行うこと。
あくまで自立したプレーヤーとして行動するが、自分がいる「場」のルールや雰囲気をわきまえて、それを守ること。
利己心を抑えて、とりあえずネットワーク全体の利益を考えて行動すること。
それからそのネットワークに相応しい人や、参加させるとみんなが喜びそうな人を紹介して、価値が生み出される機会を新しくつくること。そのためには相手のことをよく観察して、「この人は何を望んでいるのか、どういう人を紹介すると一番いいだろうか」という価値を合理的に判断する能力を持っていなければならないよね。
そのネットワークの中で得られた情報や、外で自分が見聞きしたことなどを、ネットワークの内外の人に伝えて、そういう行動を通して最終的には自分が属しているネットワークの価値自体を高めるように行動すること。一対一の関係だけをコントロールするのでなく、複数の人たちを相手にして、みんなを満足させるような対人関係を構築する能力が必要だろうな。
まあそうしたことを心がけていれば、どういうネットワークに参加しても歓迎されるはずだよ。
おやじ なんか頭が痛くなってきたな。オレたちは普通は、「上司と自分」、「部下と自分」といった一対一の人間関係しか考えないもんだよ。
若造 だけど、一対一の人間関係しか見ないというのは、レベルが低い関係のつくり方でね。男には七人の敵がいるんだから、常に組織全体の気配を見てないといけないでしょう。それができないと、ビジネスユニットの運営はできないと思うんだけど。
つまり、リーダーの能力として常に、複数の相手に気を配ることができなければならないと思う。日本が「二国間外交」が主体で、「多国間外交」が苦手なのもこのせいなんだろうな。大国に対してはいつも従属してしまう。ときにははったりも必要なんだけどなあ。
また同時にリーダーは、自分自身がネットワークを運営する能力も持っていなければならないだろうね。
おやじ チームのリーダーであるだけじゃダメなのか?
若造 自分のチームを根城にしながら、ネットワークをその外にどんどん広げていける人だと心強いよね。
おやじ そのネットワーク・コミュニティとやらを上手に運営するには、どうすればいいんだ?