■インターネットになじめず / ネットで「無」から「有」をつくる2
おやじ そのネットワーク・コミュニティとやらを上手に運営するには、どうすればいいんだ?
若造 まず、ネットワークの核になる目標やネットワーク独自の文化をつくるようにコントロールできること。その価値の周りに人が集まってくるわけだから。
それから、ネットワークのルールがあるわけだけど、オープンで出入り自由な仕組みにしておくと、必ずそのルールを破るルールブレイカーが入ってくるんだよ。やってはいけないことをやって、みんなを困らせるような人だね。あるいは、確信犯でネットワークにぶら下がって平気な人とか。そういう人たちが増えてくると、ネットワークはダメになってしまうので、上手にそういう人たちを排除してしまう必要があるんだ。そこで甘い顔をしていると、すべての苦労が水の泡になってしまうから、毅然とした態度で、ルールブレイカーを排除しなければならない。
最後に、あの手この手で「場」をもり立てる必要があるね。その「場」が賑わっていて活気があれば、ますます人が集まってくるわけだから。
そして人が集まってきて、その人たちが自分の能力を、その「場」でどんどん発揮してくれれば、雪だるま式にネットワークは広がっていくでしょう。そしてそこでいろいろな価値が生み出されてくるはずなんだ。それをみんなで汲み取って、自分の仕事に反映させてアウトプットしていけばいいということだよ。
おやじ そんなにうまくいくものかな。オレには、夢物語のようにしか聞こえないけど。もっと世の中というのはのんびりした、硬直的なものなんじゃないのか? 今の話は、原理的にはできることかもしれないけれど、うまくいきそうにないような気がするんだな。実際にそんなネットワークがあるんだろうか?
若造 会社でEメール使ってる?
おやじ 読むのは読めるけど。部下に頼んだら、オレのパソコンに来た分をまとめてプリントアウトしてくれるんだよ。自分で書いたことはないかな。返事は電話ですればいいわけだし。
若造 うわっ、それって部下はすごい迷惑だよ。
あのねえ、インターネットの世界では、メーリングリストやSNS、掲示板などのそのようなネットワーク・コミュニティーがものすごい勢いで増えているんだよ。インターネットの登場で、個人をネットするコストが劇的に引き下げられたので、みんなが手軽にそういった新しい世界に参加できるようになった。そしてその中でネットワーク能力を持っている人たちには、今までにないほどチャンスが広がったんだ。