■インターネットになじめず / ネットで「無」から「有」をつくる4
若造 ネットワークの中では、肩書きによって上下は決まらないけれど、情報力がある人や、情報をうまく交通整理して価値を高める編集能力がある人は、みんなから信用されているよね。そしてそういうネットワーク内での存在感のある人のところにどんどん情報が集まってくる。それはみんなが純粋にその人の実力を評価しているからなんだ。この世界では、権威というのは通用しないんだ。
おやじ ふ〜ん、ネットワーク・コミュニティというのは、会社とはずいぶん違うもんなんだな。でもまあ面白い話だな。
若造 違うっ! まだわからない? 本来の会社組織の内部の人間関係は、こうでなければならないんだよ。なぜなら会社は機能体だから。
ネットワーク・コミュニティーが示しているのは、これからの、オープンな組織の中での人間関係と情報流通のあり方なんだよ。それをいち早く取り入れて、上下関係のないフラットで情報が価値を高めやすい組織をつくった会社が、新しい価値をつくり出してこれからの競争に勝てるはずなんだ。
おやじ へえ、ホントかよ?
若造 そうだよ。これからはそうなるんだよ。
おやじ それは違う、そんなことは絶対にありえない!
若造 やれやれ、これで話はまた振り出しか……。
おやじ あんなものは、「便所の落書き」みたいなもんだろう。
若造 ああ〜、そこに情報に対する旧日本人の考え方がよく現れてるね。
「便所の落書き」とインターネットの違いはね、便所に何か書いたって、誰も返事してくれる訳じゃないよね、返事を期待するなら便所以外のところに書くわけだよ。
インターネット上で流れている情報は、出し手から受け手に流れて、受け手はその情報にレス(返事)を返すわけ。それを相互にやっていくと、そのやりとりの中で自然に付加価値がついてくる。いつの間にかアイデアが生まれ、それが洗練されていく、そういう「場」なんだよ。
おやじ いつも会社で仲間と話している時、そんなことは考えないだろう。笑い話でもしておけばいいんだよ。
仕事がしっかりしていれば、情報なんてあまり意味はないのさ。
若造 「コミュニケーション」というのは、価値を生み出す行為そのものなんだけど。