■効率性より上司のメンツ / 目的合理的に行動2
おやじ ガイジンに日本のことがわかるはずがない!
若造 確かにね。日本人がちゃんと資本主義や市場主義の仕組みを理解していれば、こんなことにはならなかったはずだから、ガイジンも彼らの観点を逸脱しているわれわれのことは理解できないかもしれないね。だけど彼らは投資先を求めているわけで、そこにアピールしないと日本に資本を呼び込むことできない。こちらが向こうの基準に合わせる必要があるんだよ。
それに、日本の社内文化もガイジンには理解できないだろうね。日本の会社には絶対に維持しなければならない「身分制度」があって、それを守るために非常に細かい規律や規則があるんだけれど、それはちゃんと明文化されていないから、マスターするのにかなり時間がかかるだろう。
社員は自由であるように見えて、行動だけでなく発言や考え方に至るまで、「分を越える」ことがないように枠をはめられている。基本的には、上司には文句を言ってはならない。それは、会議の場でも同様で、「会議には参加してもよいが、発言をしてはならない」という暗黙の了解がある会社すらある。
おやじ それはそうだろう、会議をする前にすでに結論は決まってるんだから。よく若手社員が会議を発言の場だと勘違いして意見を言うことがあるが、根回しをせずに何かを言っても採用されるはずがないじゃないか。そういうのは見ていて滑稽だよな。
若造 ぼくも最近そういうことはしなくなったよ。だけど本来は、会議というのはさっき言ったネットワークの「場」であって、みんなが持っている知恵を集めて、とりうべき選択肢を練り上げ、自由な立場で議論を戦わせて「どれが一番正しい結論なのか」を議論する場所じゃないか。そして議決権を持っている人間が多数決で解答を選択し、皆がその決断に従うということでしょう。
おやじ そんな建て前が日本で通用するはずがない。そんな議論の能力はみんな持ち合わせてないんだから。
若造 それは事実かもしれないけれど、かなり恥ずかしいことなんだから、改善する努力をしないとダメだと思うけどね。
会社で意見を通す方法が、舞台裏での根回しに限られているんだったら、会議は時間のムダなんだから、廃止した方がいいと思うよ。みんなかなり会議に時間をとられているし、移動するコストだけでも大変なんだから。