よそ者が入ってくるくらいなら死んだ方がマシ
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 その通り。それはその地域の人たちにしか通用しない考え方であって、日本の他の地域や、ましてや外国の人たちは「まったく異常なことだ」と思うだろうね。
だけどそういった地元の論理に馴染まない人間を「よそ者」としてすべて排斥するというのが地方なんです。
「地方が元気がない」とかさんざん言ってるけれど、一番考えなければいけないのは、地方の人たちのよそ者を排除するそういった心根であって、少なくともいろいろなリソースがどの地方にもそれなりにあるはずなんだから、外部からの人間をあたたかく受け入れて、活躍の機会を与えてやれば、いくらでも地方の発展の機会はあると思います。
だけどそんなことは地方の人たちはやりたくないわけです。
例えばね、高校野球でも地元の私立高校で、地元以外から越境入学してきた外人部隊ばかりのチームは勝っても関係者以外はあんまり盛り上がらないですよ。だけど昔の旧制一中とか、二中といわれたところが勝ち進むと、滅茶苦茶盛り上がってすごい寄付が集まるんですから。
運営者 それはそうでしょうね。
この間関東地方のある町に講演しに行ったんです。うちから一時間で着く、通勤圏の町ですよ。そんなところ、田舎だと思えないじゃないですか。
そこで町おこしをやっている人に話を聞いたのですが、中心街活性化の提案をしても、「よそ者が入ってくるんだったら嫌だ」と、どんな提案をしても商店街の人たちに断られるらしいんです。「そんなことはできない。よそ者が入ってくるのは嫌だ」。地元の祭りに他の地域の人たちかくることすら嫌がるというんですから。
そんなふうにかたくなに町を守っているうちに、大型ショッピングセンターが次々にできてしまいました。過去にはみんな休みの日には買い物にやってきて、繁盛していた中心商店街も、まったくのシャッター通りになってしまいました。そして今や、地元の人たちは立ち上がる気力すら失っているわけです。手遅れになっちゃったんですよね。
それもまた、よそ者排除意識のなせる技なんです。
飯坂 だから地方の活性化といっても、悪く言えば、「地方に取り残された俺たちを活性化しろ」と言っているわけであって、他の地域の人から見れば誰もそんなことを味方したいとは思わないよ。
運営者 まず、地方に蟠踞している自分たちがいる、と。そういう地方では、やはり土地古い人間が人治主義の頂点にいて、そこからピラミッド的に地方を支配する構造があり、その構造自体がシュリンクしているというのが現状です。
飯坂 そんなところからは、若い連中はどんどん出て行きますからね。
運営者 たとえそのようにシュリンクしていきつつあることが分かっていたとしても、ピラミッド構造自体が崩されることは絶対に許せないんです。
飯坂 ピラミッドが崩されることは、革命だと思ってるよね。
そしてよそ者が入ってきて活躍することも許さない。よそ者が入ってきて金を落としてくれたり、下働きをしてくれるのはいいけれど、自分たちを差し置いて活躍するのは許せないなんて、そんなアホな話はないよね。