日本文化の強みは
田舎から都会文化への過渡期に発揮された
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 飯坂さんのお持ちの問題意識は、僕はよく分かっていて、田舎の人たちのそうした意識が日本を歪めているということですよね。
飯坂 田舎の人たちの意識が、自らの衰退を招いているんです。
運営者 誤解を避けるために言っておきますと、都会にも田舎者的な考え方をする人たちは少なくありません。田舎にも田舎的な考え方に染まってない人がいるのもまちがいのないところでしょう。また組織の上の方に行けば行くほどそうした人の数が多くなるようにも思います。
そしてぼくはそれが日本の文化であり、「日本の文化の田舎性」なのだと、ここまでの話でひとつの考え方の枠組みを今日示したわけです。
それが日本の強みの源泉であり、限界の要因でもあるわけです。そしてわれわれは、この強みを生かし、弱みを排除することを不断に続けなければ、外国の文化に太刀打ちできないというのが、私の認識です。
飯坂 ひょっとすると過去に発揮された強みは、日本が田舎から都会の文化に移行する過渡期においてしか発揮されない強みだったのかもしれないなぁ。
運営者 実際そうだったと思いますよ。これ、うまく続けているのは名古屋だけだもん。思えば、名古屋の人間が日本を統一して、幕藩体制を開いたんだから。
飯坂 さっきの新幹線の駅前の話みたいに、全国あまねく都会化が行き渡って、定常状態になっちゃうと、そうした日本文化の持つ強みは消えてしまうのだろうか。
運営者 だからそこでもう一度強みを発揮させ、再生産する方向に持っていけないかな、と。
飯坂 都会と田舎の間で、もう一度循環を復活させるとかね。
戦争中の疎開とかを除いて、過去百数十年間は田舎から都会へという流れだったんだから、今度は都会から田舎へという流れに変えるというのも一手では。
そうすると日本の強みである田舎性も維持できるのでは。情報も資本も消費も移転されるから刺激になって活性化するでしょう。
運営者 都会から田舎に人を移した瞬間に、その人は田舎的な動き方をするようになってしまうのではないでしょうか。よそ者を排除するような・・・。
飯坂 それはそれでいいんだよ。だけど問題は、そうした人が田舎的な行動をとる前に、都会から田舎への還流を田舎自身が拒否していることにあるでしょう。
運営者 それはあるようですね。
飯坂 都会の人が田舎に行って、田舎で子供を作って育ててくれれば、田舎の強みを持った人が再生産されるわけだから。
運営者 しかし下手をすると、その子供が、田舎者の弱点をさらに強化した形で、いじめを繰り返し、集団的な負のスパイラルの中に入っていじめ社会をつくり、生活保護をもらう人間ばかりを輩出するという結果になるという恐れもありますが・・・。
それが日本の文化の限界なのであれば、先行きは暗いですね。