系統金融機関の構造はまちがっている
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 つまり田舎というのは、ポテンシャルであり、ひとつの可能性でもあるわけです。
運営者 ダイバシティという観点から行くと、田舎に帰ることは健全であるとは思います。
田舎の人がその健全な精神を持って自立してくれているのであれば、健全な田舎者として多様性を育てる孵卵器になり得るでしょうが、現実ではそうではありません。
飯坂 農家は補助金漬けになってるしね。常に東京に「カネをくれくれ」と言ってるし。
運営者 農業漁業で稼いだ金は、農協漁協を通して中央に上げて運用するしかないわけじゃないですか。田舎には投資先はないんだから。
飯坂 それで農林中金がサブプライムでやられてしまう。
運営者 農林中金は、どうして何でもかんでも最初にやられちゃうんですかね。
飯坂 それはいっぱい買ってるからと、系統の要請によってハイイールドを追求しなければならないからね。
運営者 系統金融機関の構造はまちがっていると思いますね。農協という仕組み自体を考えなければならないでしょう。
これもまた、日本の田舎文化が抱えている問題点のひとつですよね。
それで農協の組合職員の持ち逃げも多々あると。農協は無限責任だから、社会保険庁よりも話が外に出にくいと思いますけどね。
飯坂 だから農協はコネでしか人を採用しないんだよ。
運営者 警察もコネが多いらしいですよ。だから内部告発がないんです。告発したら親戚に迷惑がかかるから。
それで、今言った田舎性といったものが日本の文化の中にはあるわけですが、次に僕が問題にしなければならないと思うのは、今東京にある大企業の中にも、霞ヶ関の役所の中にも、それがあるということです。僕はこれから目をそらすわけには、いかないと思います。
それはひとつは、話を元に戻して、人治主義の問題に目を向けるべきということがあります。
飯坂 ふむふむ。
運営者 もうひとつは、地域主義の社会は、外部に開かれることを嫌がるわけじゃないですか。
だけど企業にしても役所にしても、ステイクホールダーがあります。だから彼らから目をそらすわけにはいかないんだけれど、ほんとは顧客やステイクホールダーを見たくないと思っているわけだから、やっぱりごまかしが出てくるんですよね。
飯坂 ごまかしというよりは、組織の内部だけで通用する掟と、外形的に適用される法律の間に乖離があるということだよね。