恐ろしく洗練された中空型統治システム
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 今、そういった日本の古い思想の枠組みから離れている若者=新日本人は、もし彼らが自己決定能力を身につけているとすれば、その能力は日本に源流を置く思想をもとにして獲得した自己決定能力ではないでしょうね。
運営者 であるならば、中空国家のいいところを生かして、外国の優れたものを取り入れて生き延び続けられればそれでいいのかも。
飯坂 そうすると日本社会は、2極分化してしまうと思いますね。
自己決定能力を持った人たちは、この国を捨てて外国に出ていってしまいますよ。そして残った人たちは、パレスチナ状態になるでしょう。
運営者 だけど、最大多数の最大幸福を実現しようと考えたら、それが一番いいんじゃないかな。そっちの方が、まだ救われる人が出る分、いいんじゃないでしょうか。
こんな日本のくだらないタコツボの中に埋もれて、本当であれば開花させられる自分の才能を伸ばさずに死んでいく人間が多いというのは、人間の才能に対する冒とくだと僕は思うんですね。
まだ若いのに出がらしみたいになっている人を見ると、私はつくづくそう思いますね。
飯坂 その点についても、現在では日本人は世界のベストテンの中に入っていると思いますよ。
運営者 入っているでしょう。
入っているからといって、現状に満足していてよいということにはならないんです。
資本の論理で考えていても、生かされずに眠っている資本があるというのはおかしなことですからね。
もうひとつは、それだけ恵まれている環境にありながら、公共事業のタコ足を食べて破たんの危機にひんしている経済というのは一体何なのかということですよ。
飯坂 やっぱり、古い連中をパージしないとどうにもならないんじゃないですかね。
運営者 では、なぜパージできないのでしょうか。
飯坂 それは、実権を持っている人間はだれもチェックできないし・・・。
運営者 「中空構造=外骨格」だからなんですよ。中空だからこそ革命も起こらない。革命の起こりようがないからです。
丸山は、実権は日本の組織では絶えず内部化し、下降化すると言っています。つまり少数の貴族が実権を握り続けるのでなく、ミドルの中でも下降化して、みんながおいしい思いができるので、誰もひっくり返そうと思わないのです。ガス抜きがあるので市民革命が起こらない。
この日本の中空型統治システムは、恐ろしく洗練されたものなんです。ひょっとしたら日本人は、人類史上最も洗練された、安定的な統治システムを1000年以上前に作り上げたのかもしれません。賢いと言えば、賢いですよ。