改革の結果500万のニート、フリーターが出現した 藤原正彦先生論文「国家の堕落」を読む
読書仲間 飯坂彰啓
運営者 だから国柄とはなんだかよくわからないけれど、日本の持っているその国柄を長く守り伝えることこそ、われわれの生きる目的であるという深遠な理念を示していらっしゃるのだと思います。ありがたいこってす。
そして、そういう考えに立たないから、「500万ともいわれるニート、フリーターが出現した」と続いてますね。しかしここには、いささか飛躍があるようにも思われます。
果たしてニート、フリーターが出現したのは、社会のせいなんでしょうかね。彼らには責任にはないんでしょうか?
飯坂 彼らが適当に生きていても食えてしまっていることが社会の責任であるということはあるかもしれませんね。
運営者 そりゃ、許し難い大罪だ。ひとつは親にパラサイトしているということがありますね。さらにはフリーターとしてバイトして・・・。
飯坂 流動的な雇用でも生きていけるということがあります。さらに、メディアや消費産業が魅力的な「夢」を大量に供給してくれるので、「夢を追いかけている」というプライドまで獲得することができる。
情報消費社会においては、不確かな夢や妄想にお金を使ってくれる大事な「消費者」の一群ですから。
運営者 だから、株主中心主義のせいでニートやフリーターが500万人出現したというのは、これはさすがに藤原先生にしても言い過ぎなのではないかという気がします。
飯坂 例えば「若年失業率が10%越えた」とか、「若年層に限っていえば失業はこのくらいだ」という言い方であればよかったかもしれませんね。
運営者 ただね、玄田有史の『仕事のなかの曖昧な不安』のように、「若年失業者が増えた要因は団塊や団塊ジュニアの連中が企業の上に溜まっていて、出ていかないからだ」という有力な説もありますよね。
でもまあ藤原先生の説を支持していらっしゃるのは団塊の皆さんだから、そんなことにはおかまいないということもあるかもしれません。やっぱり「フリーターやニートが出てきたのは市場原理主義のせいなんだ」ということにしとかないとまずいでしょう。決して団塊は悪くないんです。
飯坂 だって団塊の世代ができたのは戦争のせいなんだもん。
運営者 ということは、帝国主義が悪いってことですね。そしておそらく、市場原理主義と帝国主義の悪さは同等なのでしょう。どうも僕は、そのあたりの秤の加減がよくわからないなという気がしますけど。
飯坂 フリーターやニートの増加には当然教育の責任もあるでしょうから、日教組も被告人ですよ。
よくわかりませんなぁ。
運営者 だけど多分、この論文を読み進めていくとそのあたりがだんだん明白になってくるのではないかと思うんです。わくわくしてきましたね。