小中学生の金銭教育は、国民に株を買わせるためのもの 藤原正彦先生論文「国家の堕落」を読む
読書仲間 飯坂彰啓
運営者 藤原先生は基礎科学についても問題を突きつけておられます。
「小中学生に起業家精神を育めとか、金銭教育をしろ、中高生に株や債券の知識を与えろ、などというとんちんかんを言っている」「子供にそういった教育をしてベンチャービジネスを始める人間を増やそう、なるべく多くの国民に株を買わせて株式市場を活性化させよう、などと浅薄なことを考えているのだろう」。
「金銭教育というのは株を買わせるためにやっているのだ」と非難されているわけです。
飯坂 ほんとかなぁ。普通に悪徳商法にだまされないようにということを教えてるんじゃなかったっけ。
運営者 たぶん金銭教育の問題はね、「経済の中でお金というのはどのような役割を果たしていて、資本主義というのはこういうものですよ」というルールを教えれば、そのうち自然に「効率的に資本を運用するというのはどういうことだろうか」と考え始めますわな。
それをもうちょっと延長していくと必然的に市場原理主義に近づいていく・・・これが問題だと、藤原先生は危惧されているのではないでしょうか。
飯坂 なるほど、納得。日本人は株なんかやらずに銀行預金をしなさいということですな。
運営者 もちろんですよ。みんなが銀行預金をして引き出さずにいたら、銀行は破綻なんかしないんだから。
飯坂 それに銀行預金をしていたら、銀行が国債を買ってくれて、それが公共事業に回っていろんな人がそれで食べていくことができる。それによって穏やかな心で暮らせる人が増えるし。
運営者 しかもそういう国家のお金の使い方については、「よほどの人物」とか「日本の叡智」とか「至芸」によって決定されるわけだから、おかしなことにはならないんだと言っているわけですよ(爆)。
えー、本当のところは、藤原先生がご指摘されるようにエコノミストや実業家が政策に口を出すようになる前に、「よほどの人物」とか「日本の叡智」とか「至芸」だののおかげで、この国は700兆円の借金を溜め込んでいたんですけれど。それについてはどのように考えられるのかということも、ぜひ伺ってみたいなと思いますね。そうするともっとおもしろい話が聞けるかもしれないっていう期待がありますよ。
飯坂 そうだね。